ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ
魔法使いの沼地33






「ねぇ、ラルフ。
突然だけど、ちょっと遠回りして山の向こう側に出てみない?」

地図に目を落としたまま、リオはラルフに話しかけた。



「別に俺はどっちだって良いぜ。」

「ラルフ、今いるのがここなんだ。
そして、ここがエミリアの住んでる町。
この山を越えて向こう側に行くと、ここに出るんだ。」

リオはラルフに地図を見せながら、説明する。



「だから…俺はどっちでも構わないって言ってるだろ?
でも、地図を見た限りじゃこの町までは何もなさそうだし、ずいぶん遠そうだぞ。
おまえがそれでよけりゃ俺は何も言うことはない。」

「うん。
野宿には慣れてるから、そんなことはなんともないよ。
僕も特に理由があるってわけじゃないんだけど……なんとなくそうしたくなったんだ。」

「よし、じゃあ、そうしよう。
決まりだ!」

そう言うと、ラルフは大きなあくびと伸びをして、その場に丸くなった。
リオもレヴィをバッグの上に停まらせると、その隣でごろりと横になる。



「……それにしても、あの時は本当に驚いたよ。」

「あの時って……どの時のことなんだ?」

唐突なリオの呟きに、ラルフが問い返す。



「君に、沼地の魔法使いのことを教えてもらった時のことだよ。」

「……あぁ…あの時か。
あの時のおまえは、本当に間抜けな顔して驚いてたな。」

「間抜けとは酷いな!」










「ねぇ、ラルフ。
ところで、沼地の魔法使いってどんな人なの?」

「どんなって…俺が見たのは、いかにもって感じの腰の曲がった老婆と、三つ編みにした女の子と…後は、ものすごく太った若い男がいたな。」

「ええっ!!
魔法使いは、三人もいるの?」

リオは瞳と口を大きく開けたまま、ラルフをみつめる。



「おいおい、なんて顔してるんだ。
魔法使いは一人だよ。
なんでも、シューラルフィールは変化の魔法が得意らしく、いつも姿を変えてるみたいなんだ。
だからもっといろんな姿があるのかもしれないぜ。」

「ちょ、ちょっと待って。
それじゃあ、君は魔法使いの本当の姿がどれなのか知らないってこと?
それと、シューラルフィールっていうのが魔法使いの名前なの?」

「そうだ。
あれ?まだ言ってなかったか?」

「聞いてないよ!!
ね、ラルフ、僕、メモするから、どんな小さなこことでも良いから君が魔法使いについて知ってること教えて。」

ラルフは目をつぶり、記憶を辿るようにして魔法使いのことを話し始め、リオはそのことを紙切れに書き綴った。


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