(わぁ…すごい。
いろんなのがあるんだ……)



もうじき圭祐の誕生日。
何かプレゼントしたいなって考えてみると、圭祐がいつも腕にブレスレットをしていることが思い出された。
きっと、パワーストーンだ。
圭祐がそういうのが好きだってことはわかったけど、石のことは私にはわからない。
透明なのは多分、水晶かな?って思うけど、それ以上のことはわからない。
石の好き嫌いもあるだろうし、やっぱり別のものにしようかな?って思ってたら、職場の近くにパワーストーンのお店がオープンしているのを発見して…
とりあえず、一度行ってみようかな?って思って、やって来た。
でも、お店の中にはいろいろな石が所狭しと並べられ、一体、どれを選べば良いのか…



(あ…これ、綺麗……)



深い紺色に、キラキラと金色の粉みたいなものが煌めく石に目を奪われた。
まるで、夜空か宇宙みたいな石だ。



「いらっしゃいませ。今日はラピスラズリをお探しですか?」

「え?ラピス…ラズリ?
あ、あの…ちょっと誕生日プレゼントを探してて…
でも、どんなのを選んだら良いかわからないんです。」

「石選びは直感が一番ですよ。
それに、ラピスは人気の高い石ですから、きっと喜ばれますよ。」

「そ、そうなんですか?じゃあ、これにします。」

ちょっと簡単に決めすぎたかな?
でも、直感が一番だって、店員さんも言ってたし…うん、大丈夫だよね。







「圭祐…これ……」

「え?……もしかして誕生日プレゼント?」

圭祐の勘が良くて、ちょっと驚く。



「う、うん。」

本当は明日が圭祐の誕生日だ。
だけど、明日は仕事の都合で来られないらしいから…
私は、ブレスレットの入った包みを手渡した。



「あ……俺、もうわかった。」

「え?何が?」

「きっと、俺の欲しかった奴だ。」

そんなことを言いながら、圭祐は包みをほどく。



「……やっぱり!」

圭祐はブレスレットを見ながら、微笑んだ。
そして、早速、腕に付けてくれた。



「ブレスレットだってわかってたの?」

圭祐は首を振る。



「違う。ラピスだって思ってたんだ。」

「どうして?」

「うん。ここんとこ、なんだかラピスが欲しいなって思ってたから。
……琴美に通じたんだな。」

「そ、そうかな?」

「……ありがとな。」

急に圭祐の顔が近付いてきて、私の唇をなでるようにそっと口付けた。
あまりに急なことで、私は何も言えず…それどころか顔を上げることさえ出来なかった。


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