第10章…side ブルー8


……これで私達の身体は一つに戻る……はずだった……



「なぜだ!
なぜ、元に戻らぬ?
創造主よ、どこかで見ているのだろう?答えてくれ!」

すると、どこからか穏やかな声が聞こえてきた。
いや、それは耳に聞こえたのではなく、心の中に直接入り込んで来たのだ。



『残念ながら、失敗のようだな…』

「だから、それはなぜかと聞いているのです!
あなたは申された。
私達が出会い、手と手をあわせた時に身体は元に戻り、力も元に戻ると…」

『その通り。
だが、手を合わせるということは、ただそれだけのことではない。
二人の気持ちが合うということでもあるのだ。
しかし、お前たちの気持ちは同じではない。
まるで逆ではないか…
ブルーは、一刻も早く天界へ戻りたいと望んでいるが、ノワールはこの地を離れたくないと悲鳴をあげておる。
だから、お前達の身体は元に戻らぬのだ。』

「そんな…!
今までずっと苦労して、やっと出会えることが出来たというのに…!
それに、あなたはそんなことはおっしゃらなかったではありませんか…!
ただ『手と手を合わせれば1つに戻れる』とおっしゃった筈…」

『自らを思慮深いと自負するおまえが、その言葉に含まれる意味に気付かなかったとでもいうのか?』

「くっ…」

私は悔しさに唇を噛み締めた。



「そうだ!ならば、ノワールだけをここへ残せば良いではありませぬか!」

『……ブルーよ…
おまえは忘れたのか?
……ノワールは、おまえ自身ではないか…』



私は、創造主の言葉にはっとした。



そうだ…
この哀れなノワールは…誰あろう、私自身だったのだ…



「ブルー…私のせいで…すまない…」

「……いいんだ、ノワール……」



私は全身の力が抜け落ちていくのを感じた…

こうなったのは誰のせいでもない。
私自身のせいだったのだ。

涙を流すノワールを、私はそっと抱き締めた。
彼に対して急に愛しさのようなものが込み上げて来るのを感じた。

これからは、私がこの男を…いや、もう一人の私を支えていこう…

そう考えた。



『しかし、確かに、これほど困難な試練をよくぞ乗り越えたと思う。
このままというわけにはいかぬな…』



そう声が聞こえたのを最後に、私の意識は途絶えた…


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