第10章…side ブルー3


「ノワール!!」

薄暗い部屋の中にノワールが横たわっているのが見えた!



「ブルー!ブルーなのか?!」

女がランプの灯をつけてくれたおかげで、ノワールの顔がはっきりと見てとれた。
その顔はやつれ、私よりも更けて見えた。

女がノワールの身体を抱き抱え、壁にもたれかけて座らせた。



「ノワール、どうしたのだ?
身体の具合が悪いのか?」

「具合…なら良かったのだがな…」

「どういうことだ…?」

「ある事情から、私は下半身が動かなくなってしまったのだ……」

「下半身が?!」

「…見ての通りだ…
しかし、よく訪ねてくれたな…ありがとう、嬉しいよ。」

彼の瞳はその言葉とは裏腹にとても悲しい色をしていた。



「ブルー、こちらはパメラ。
私の………私の世話をしてくれている人だ。
パメラには、この島に来てからずっと世話になっている…
パメラ、こちらはブルー。
私の双子の兄弟だ。
ずっと生き別れになっていたんだ…」

「初めまして、ブルーさん。」

そう言った女は、痩せこけ生気のない顔をしていた。



「ブルー、来て早々すまないが、私を外へ連れていってくれないだろうか?
たまには外の風にあたりたくてな…
パメラ、私達は少し散歩をしてくる。
夕食の用意を頼む。」

私は、ノワールを背負い、荷車に乗せた。



「あっちへ行こう。」

ノワールの言う通りに私は荷車を引いた。



「ここなら誰も来ない。
ゆっくりと話が出来るな。」

私はノワールから、私達が違う時代に飛ばされていたこと、そして、彼の身に起こった今までのことを知らされた。
ノワールはここに来るまで、私より遥かに苦労をしてきたようだ。
しかも、あげくの果てには身体を不自由にされてしまったのだ。

彼に比べると、私はいかに幸せに暮らして来られたかということを知った。

レティシアが死んだことと、レティシアの子供が実はクリスの子だったということも知らされたが、冷たいようだがそのことについては私の感情が揺れ動くことはまるでなかった。


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