第8章…side ブルー3


男の話を聞いているうちに、私は鼓動が速くなるのを感じていた。

ノワールだ!
ノワールがすぐ近くにいる!!



「その小島はどこにあるんですか!」

「どこって…ここからもっと南の方だが…
あんた、あの島に行くつもりなのか?」

「ええ!
その人は、私がずっと探していた双子の兄弟に違いありません。
すぐにでも行ってこようと思います。」

「あの島はな、まわりにたくさんの渦があるから、よほど慣れてるもんじゃなきゃあ、とても行ける場所じゃないぜ。」

「そうなんですか?!
では、あなたにそれをお願い出来ないでしょうか?」

「それは構わないぜ。
ただ、少しばかり用事があるんで、島に行くのは来月になるが、それでも良いかい?
俺はあの島にはもう何度も行ってるからな。
俺なら無事にあんたを連れていくことが出来ると思うぜ。」



(来月……)



「ブルー、少しくらい遅くなっても良いじゃないか。
焦って何事かあっては、元も子もないぞ。」

私の心中を察したのか、セドリックがそう言って私の肩に手を置いた。



「……それはそうですが……」

私は本心では明日にでもその小島に向かいたかったのだが、セドリックの言うことももっともだ。
ここで、万一船が沈んだりしたら本当に取り返しのつかないことになってしまう。
私は、男に船を出してもらう事を依頼した。



「よし!じゃ、決まりだな!
来月、俺があの島まであんたを送り、そしてあんたの兄弟共々、またここに連れて帰ってやるよ!」

「ありがとうございます。
どうぞ、ブルーのことをよろしくお願いします。
さぁ、皆さん、お好きなものをおっしゃって下さいな。
今夜は私のおごりですから、なんでも召しあがって下さいね!」



セドリックは三人に酒を振る舞い、さらに男に手付け金まで支払ってくれた。

まだどこか信じられないような想いだったが、話の様子から推測する限りノワールのことに間違いない。

今まで、本当に長い道程だったが、来月には彼に会える…
そして、ついに私達は天界に帰れるのだ…!

私は胸の高まりを押さえることが出来なかった。


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