第８章…side ブルー２
＊
ある晩のことだった。
ほとんど常連客しか来ない店に、三人組の見知らぬ男性客が現れた。
三人はすでにどこかで飲んできた様子で、赤い顔をして上機嫌だった。
「あ！あんたは……！」
その中の一人が、私を見るなり驚いたような顔をして叫んだ。
もしかしたら、エスポワール一座のことを知ってるいる者なのか？
私は下を向き、店の奥へひっこもうとしたが、その男に声をかけられてしまった。
「ちょっと待ってくれよ！
あんた、もしかしたらブルーって言わないか？」
「私は……」
「どうしたんだ、ブルー？
知り合いの方なのか？」
「やっぱり、そうだったのか！！
しかし、まさか本当のことだったとはなぁ…
俺は、てっきりでたらめだと思ってたよ。」
この男は一体何のことを言っているのだろう？
私には見当もつかなかった。
ここまで来たら、話を聞いてみるしかないと私は観念した。
「どういうことですか？
なにがでたらめだというんですか…？」
「それがな…
この先の小島で、ある男にこの大陸まで船に乗せてほしいと頼まれたんだ。
ついでといえばついでだが、そうはいっても、燃料費をかけて５日もかかって行ってるんだ。
だから、金は持ってるのかと聞いたら、今はないが必ず払うときた。
ところが、その男は見るからにみすぼらしい身なりをしていてな。
とても、金を払えるようには思えなかった。
そしたら、その男が、向こうの大陸には蒼い髪をした双子の兄弟がいるから、そいつが必ず金を払ってくれるとそう言ったんだ。
俺は、蒼い髪の人間なんていまだ見たことはなかった。
だから、男が船に乗りたい一心でいいかげんなことを言ってるんだと、そう思ってたんだ。
だが、あんたの顔はその男にそっくりで髪も蒼い…
あの男の言ったことは嘘じゃなかったんだな。」
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