第７章…side ノワール１７
＊
それ以来、私の中で何かが変わった。
心の中のざわめきや苛立ちが嘘のように姿を消し、穏やかなものに変わっていた。
私はまた彼女の仕事を手伝うようになった。
朝から晩まで働いても、食べられるのは粗末なものばかり…
しかし、それでもそれが辛いと感じることはなくなっていた。
毎日、彼女と一緒に働き、他愛のない会話を交わすだけで落ち着いた気分を感じられた。
彼女は相も変わらず良く働き、夜中にふと目を覚ますとそんな時間にも部屋の片隅で何かをしていた。
数日後、彼女が差し出したのは紺色のシャツだった。
「やっと少し生地を買うことが出来たので作ってみたんです。
うまく出来てるかどうかわかりませんが…良かったら着てみて下さい。」
そう言って恥ずかしそうにシャツを私の前に差し出した。
そうか…先日、彼女が夜中まで起きていたのはこのためだったのか…
手作りのシャツに袖を通すと、それは袖丈も長さも私の身体にぴったりだった。
「ありがとう！パメラ！」
私は思わず彼女を抱き締めた。
彼女は一瞬驚いて短い叫び声をあげた。
「今度はズボンを…」
「パメラ…愛している…！！」
「え…！？」
私は目を丸くしている彼女の唇に自分の唇を重ねた。
何度も接吻を繰り返し…そして、私達は肌を合わせた…
今までいろんな女と…そして男とも数えきれない程に重ねてきたこの行為が、こんなにも心癒されるものだったとは…
心も身体もそのすべてが温かいものに満たされているような…そんな気がした…
「ノワールさん…ありがとう…
私…幸せです…」
「パメラ…私もだ…
愛している、パメラ…
これからはずっと君と一緒だ…」
「えっ！？ノワールさん…今、なんて…」
「こんなに近くにいても聞こえなかったのかい？
これからもずっと一緒にいようと言ったんだ…
いやだと言っても、私はもう君を離しはしない…！」
「ノワールさん…！」
私は、その時、自分の気持ちがはっきりと固まったのを感じた。
もう天界へは戻らない。
私はこの女と一緒に、人間として一生暮らしていこうと…
この女を幸せにすることだけを考えて生きていくことを…！
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