第7章…side ノワール6


「ある晩…ブルーの部屋で大きな物音がして、何かあったのか?と、気になって俺は見に行ったんだ。
ブルーは俺が来たのと同時に黙って部屋を出て行き、部屋の中には素っ裸で泣いているレティシアがいた。
その状況を見れば、何があったかはすぐわかる。
俺は気の毒なレティシアを抱き締めなだめていたんだが…
なにしろ、レティシアは何も着ていない…
レティシアの真っ白な肌を見ているうちに、俺はつい…」

「………」

「実は、俺はずっと昔からレティシアに憧れてた…
だが、俺はただの裏方、レティシアは一座の花形ダンサーだ。
それに、レティシアがブルーのことを愛してることには気付いていたから、完全に諦めていた。
手の届かない女だと思ってた。
ところが、そのレティシアが裸で俺の胸の中にいたんだ…
俺は自分の欲望を押さえることが出来ず、無理矢理にレティシアのことを…
俺は最低だ…!!」

「そうだったのか…
彼女には気の毒なことだが…男としては仕方ないことなのかもしれないな…」

「それだけじゃない…
事が済んで、泣きじゃくるレティシアの身体を見た時…俺は、レティシアが初めてだったことを知ってしまった…」

「それはおかしな話ではないか…
レティシアはその前にブルーと…」

「その時、俺は思い出したんだ。
ブルーは部屋を出ていく時、服もまるで乱れた様子はなかったことを…」

「つまり、それはレティシアとブルーの間には何もなかったということか?」

「そうだ…
俺はそれを知って自分のやらかしてしまったことが、殊更に悪いことだったように思えた。
レティシアはきっとこのことを座長にも話すだろうし、俺は一座を追い出される…そんなことを考えていた。
とにかく、俺はレティシアに頭を下げた。
一座を追い出されることが怖かったんじゃない。
レティシアに酷いことをしてしまったことを本当に申し訳なく思ったんだ…
……レティシアは、このことは誰にも話さないようにとだけ言って、部屋を出ていった。」

「それで、それからどうなったんだ?」

「俺は、それからはレティシアに口もきいてもらえないだろうと思っていたんだが、信じられないことに彼女に毎晩のように部屋に呼び出されるようになったんだ。」

「彼女が君に好意を持ち始めたということなのか?」



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