第5章…side ノワール18





「こ、これが時を飛び越える道なのか?」

「……あぁ、おそらく…」


二枚の鏡を向かい合わせに設置すると、その間に奇妙な靄が現れた。
まるで、意思を持っているかのようにうねうねと動くおかしな靄が……


ついに、この日がやってきた…!
これで本当に過去に戻れたら、あとはブルーをみつけ出すだけなのだ。


長かった…
人間界に降ろされてから、彼に出会うまでこんなに長い歳月がかかるとは考えてもみなかった。
いや、これですべてが解決するわけではない…
まだ、この鏡が本当にそんな力を持っているかどうかはわからないのだから。
期待が大きければ大きい程、その期待が裏切られた時の落胆は大きい。
そのことは十分にわかっているのだが、どうしても期待に胸が高鳴ってしまう…

鏡と鏡の距離はどのくらいが何年にあたるのかわからないため、距離は適当に合わせた。
とにかく、まずはこれが本当に時の道なのかどうかを確かめる事だ。
細かい調整はその後あらためてやるしかない…



「では、行ってくる。」

「なるべく早く帰ってくるのだぞ。
危険なことはするな。」

「あぁ、わかっている…」

ジェロームに強く抱き締められ、いつもよりも熱く激しい接吻を受ける…



(……これが最期の接吻になってくれれば良いのだが…)



そんな想いと共に私は靄の中に飛び込んだ。




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