第4章…side ブルー15
レティシアのつわりは多少マシにはなったようだが、体調は相変わらず良くないようだ。
そんな彼女を見ると気の毒には感じられたが、それでも私にしたことを考えると優しくしてやる気にはなれなかった。
結婚式は腹が大きくなる前にと座長に言われていたが、レティシアの体調が良くないこともあり、伸ばし伸ばしになっていた。
それは、私としては、願ってもないことだったのだが…
「おい、ブルー!
今度行く町の劇場のすぐそばに教会があるらしいぞ!
ずいぶん遅くなっちまったが、結婚式はその日にやろうぜ!」
恐れていたことがついにやってきた。
「ですが、レティシアの体調がまだ…
それに指輪の用意もまだなにも…」
「座長!私なら大丈夫です。
最近は以前よりだいぶマシになってきてるんです。」
「そうか!そいつは良かった!
なぁに、指輪なんてものはどこかで借りてくりゃあ良い。
じゃ、その時に決まりだな!」
座長もレティシアも満足したように微笑を交わしている…
確かに、今、彼女と結婚式をあげたからといってなにか差し障りがあるわけではない。
彼女が私の正体に疑いを抱く前に別れれば良いのだから。
しかし、愛してもいない…いや、むしろ、憎んでいる女を相手に偽物の愛を誓うことがやはりどうしても納得出来ない…
私は、ついに逃げる決意を固めた。
幸い、次に行く町は海辺の町らしい。
ということは、きっと港があるはずだ。
そこから、船でどこかの土地へ移ろう…
数日後、私達は町に着いた。
私は次の日に備えて、町の下見に出掛けた。
思った通り、町には港があった。
それほど大きな港ではないが、毎日船の発着があるようだ。
行き先はどこでも構わない…
私は、次の日の朝早くに出る船があることを確認した。
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