第4章…side ブルー14


「…ええ、そうよ…
ダンスは私の生き甲斐…
子供の頃から私はずっと踊り続けてきたわ。
どんなに嫌なことがあっても辛いことがあっても、踊ったらすべて忘れられた…
踊れなくなったら、私は生きていけないと思ってた…
……でも、違ったわ!
私はダンスよりも愛するものをみつけてしまったのよ。
だけど、あなたは私のことなんてまるで振り向いてくれなかったわ…
あなたを忘れるためにも私は踊り続けた。
でも、運命って皮肉なものね…
クリステルさんのことをたまたま耳にして…その時、私に運が向いてきたのを感じたわ。
あの時をきっかけにあなたが少しずつ私に近付いて来るのが感じられた…
手が届かないと思ってたあなたが、手の届く距離にまでやってきた。
これは私にとって最初で最後のチャンスだと思ったわ。
逃すわけにはいかない!!
そして、その時私は気付いたの…
あなたは私にとってダンスよりも大切な人だってことに…」

「そうか…すべては君の思い通りになったということか…」

「違うわ…
あの日…まさか、あなたに拒否されるなんて思ってもみなかった…
そりゃあ愛されてないことはわかってたけど…
身体を投げ出せば、あなたは私を抱いてくれると思ってた…」

浅はかな…
こんな女の罠に落ちたのかと思うと、怒りで身体が震える想いだった。



「………その子の父親は誰なんだ?」

「……この子の父親はあなたよ…」

「そうか……」

レティシアは赤ん坊の父親については絶対に口を割らないつもりのようだ。

私達は同じ部屋にいても最低限の会話しか交わさなかった。
夜は長椅子で横になって眠った。
私達がこんな冷ややかな暮らしをしているとは、他の団員は誰も気が付いていないようだった。

レティシアは、皆の前では幸せそうなふりをしていつもにこやかに微笑んでいた。
私はそこまでする気にはなれず心のまま不機嫌にしていたのだが、それを皆は照れていると受け取っていたようだ。

レティシアの妊娠も彼女を見た限りではあまり実感がなかったが、同じ部屋に暮らすようになってしばらくした頃からつわりがひどくなってきた。
つわり以外にも様々な不快な症状があるらしく、部屋でも横になることが多くなっていった。
半年もする頃にはレティシアのお腹は明らかに大きくなり、傍目にもすぐにわかる程になっていた。


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