第４章…side ブルー１２
「レティシア…おまえはなんて健気な女なんだ…
こんな男のために…！
ブルー！おまえ、今の言葉を聞いたか！？
おまえがレティシアにどんなひどいことをしたのかゆっくりと反省して、心を入れ換えてこれからはレティシアを大切にすることだな！
おまえがそんな奴だったとは、思ってもみなかったぜ。
良いな！
もうこれ以上、俺を失望させないでくれよ！
……俺は飲み直して来る！
クリス、マイク、行くぞ！」
座長は乱暴にドアを開けると、クリスとマイクを伴って部屋を出て行った。
「…………君って奴は…」
「……言ったでしょう？
あなたは必ず私のものになるって…」
「……お腹の子は誰の子なんだ？」
「おかしなことを言わないで！
この子はあなたの子よ。」
「そんなはずがあるわけないじゃないか。
私は君に指一本触れてなどいない！」
レティシアは声をあげて笑った。
「そんな話、だれが信じるかしら？
この子は私とあなたの子。
これから私達は結婚し、二人で一緒にこの子を育てていくのよ…」
レティシアは勝ち誇ったような眼差しで私をみつめる。
こいつは悪魔だ…
やはり、人間というものは醜い心で出来ているのだ…
エスポワール一座に入ってからというもの、私は少しずつ人間に対する意識が変わってきていた。
少なくとも天界にいた頃のように毛嫌いすることはなくなっていたのだが、やはりそれは間違いだったようだ。
人間は、自分のことしか考えない身勝手で汚らわしい生き物だったのだ…
「ブルー…
どうしてそんな怖い顔をしているの？
私があなたを愛しているといったのは嘘ではないのよ…
私は、本当にあなたのことが好きなの…好きで好きでたまらないのよ。
ブルー、こっちを向いて！
血が出てるわ。
私のせいで酷い目に合わせてしまったわね…」
「やめてくれ！」
私の顔に触れようとしたレティシアの手を私は払いのけた。
「愛しているなら、なぜこんな酷いことをする？！
君は私のことを愛してなどいない！」
「ブルー…
あなたには私の気持ちなんてわからないのよ！
……でも、子供が生まれれば…あなたの気持ちもきっと変わるわ…
私は諦めない…
あなたが私のことを愛してくれる日をいつまでだって待ち続けるわ！」
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