第4章…side ブルー9
今度のパーティもまたアルフレッドの屋敷で催された。
顔触れもいつもと同じような者ばかりだ。
「ブルーさん、実は今日はクリステルも呼んであるんですよ。
今、連れて来ますから…」
「えっ!!」
私はアルフレッドに耳打ちされた言葉に慌てた。
まさか、こんな不意打ちを食らうとは…
私はすぐさま座長の元へ走った。
「なんだって!
そいつは困ったな…
あ!レティシア!ちょっと来てくれ!」
「座長…レティシアは…」
私はレティシアにはこれ以上関わってはほしくなかったのだが、彼女はすぐ傍にいたため、残念ながらそうはいかなかった。
「はい、なんでしょうか?」
「レティシア、実はな…
アルフレッドが例の娘を連れて来ちまったらしいんだ。
お前、この前、何か良い策があるって言ってたよな?」
「ええ…大丈夫です。
私にまかせてください。」
レティシアはにっこりと微笑んだ。
本当に実行するつもりなのだろうか、あんな策を……
無理だ。うまく行く筈がない。
「レティシア…」
「おぉ〜、皆さん、ここにおいででしたか。」
レティシアに声をかけようとした時、ちょうどアルフレッドが現れた。
アルフレッドの脇には、いかにも高級そうななめらかな生地のドレスを着た若い女性が立っていた。
その場に立っているだけで人目をひく程の絶世の美人だ。
「これは私の遠縁にあたるクリステルです。
クリステル、こちらがエスポワール一座の座長さん、そして看板スターのプリンス・カイヤナイトことブルーさん、そして、こちらは…踊り子の…確かレティシアさんでしたかな?」
アルフレッドは何度もレティシアと話したこともあるくせに、そんな紹介の仕方をするのはやはり彼女のことを良く想っていないからなのだろう…
「おお〜っ!なんて美しい娘さんなんだ。
私は今までこんな別嬪さんにはお会いしたことはありませんぜ。
まるで女神様みたいだ!」
座長はアルフレッドへの世辞のつもりなのか、大袈裟にクリステルを褒め称える。
「まぁ、女神様だなんて…私なんてたいしたことありませんわ…
そちらのレティシアさんこそとてもお美しい方ですわね…」
「クリステルさん、どうもありがとうございます。
でも、私なんてあなたの足元にも及びませんわ。
…ねぇ、ブルー?」
レティシアは私の腕にしなだれかかるようにして、上目遣いで私をみつめる。
そんなレティシアをクリステルとアルフレッドは冷ややかな瞳でみつめていた。
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