第4章…side ブルー8
次の日、案の定、レティシアは私を避け顔を合わそうとはしなかった。
あんなことがあったのだから、それも当然のことだ。
私もどう対処して良いのかわからず、特に自分から声をかけることもしなかった。
クリスの態度もおかしい。
それも仕方のないことだ。
きっと、クリスは私がレティシアをたらしこんだとでも思っているのだろう。
しかし、真実をいえばレティシアをさらに傷付けることになる。
私が悪者になることで、彼女が救われるならそれはそれでかまわない…
アルフレッドもまるで顔を出さなかった。
クリステルの一件で機嫌をそこねてしまったのだろうか…
*
それから十日程が経った頃、レティシアが不意に声をかけてきた。
「ブルー…あの、この前のことなんだけど…」
「……私はあの日のことはすべて忘れた…」
「そう…
そんなに私のことが嫌いなのね…」
「そうじゃない。
ただ…私にはやるべきことがあって…今は女性に現を抜かしている暇はないだけだ…」
「ブルー…私はあなたのことを諦めたわけじゃないわ…
あなたは必ず私のものになる…」
レティシアはそう言い残し、去っていってしまった。
それからも、私とレティシアは舞台のこと以外では口をきかないままのぎくしゃくとした関係が続いていた。
やがて3ヶ月が経った…
来週からは本格的にこの大陸のあちらこちらを旅して回ることとなった。
このあたりではエスポワール一座の名も広まっては来たが、遠い町ではそういうわけにもいかないだろう。
気を引き締めていかなくては…
アルフレッドはずっと商用で遠くの町に行っていたらしく、昨日、やっとこの町に帰ってきたということだった。
「お久しぶりです!皆さん!
私が出かけている間に、エスポワール一座はずいぶんと有名になられたようですな。」
「いや〜、これもすべては、アルフレッドさん、あなたのおかげですよ!」
「何をおっしゃいますやら。
あなたの一座に実力があったからこそのことです。
旅に出る前祝いに、明日、盛大にパーティを開きましょう!」
またパーティか…
私は心底うんざりしたが、座長や他の団員達はとても喜んでいるようだった。
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