第４章…side ブルー６
その晩遅くのことだった。
いつもついつい夜更かしをしてしまう私がそろそろ横になろうかと思った頃、私の部屋の扉を叩く者がいた。
こんな真夜中に一体誰が？
まさか、アルフレッドがクリステルのことで話に来たのか？
小さな胸騒ぎを感じながら、私は応えた。
「どなたです？」
「夜分遅くにごめんなさい。
私よ…レティシア。」
「レティシア……？」
ドアを開けると頭をフードで隠し、長いマントを羽織ったレティシアが立っていた。
「どうしたんだ、こんな夜更けに…」
「ちょっと話があって…」
誰かに見られることを警戒しているのか、レティシアは半ば強引に部屋の中へ押し入った。
「アルフレッドさんのことなんだけど…」
「あぁ…君には何か策があるらしいな。
それを教えに来てくれたのか？」
レティシアはゆっくりと頷いた。
「まぁ、そこへ座りたまえ」
マントを預かろうとしたが、レティシアはこのままで良いと断った。
「ブルー、何か飲み物はあるかしら？」
「コーヒーで良いか？それとも紅茶にしようか？」
「お酒はないかしら…？」
「酒…？」
ふだんの私はほとんどアルコールを飲むことはないが、差入れでもらったワインが何本か部屋にはあった。
「これで良いか？」
「ええ、ありがとう。」
レティシアは自分でコルクを抜き、グラスになみなみと注ぐとそれをぐいと飲み干し、さらにまたグラスに注いでいる。
確か、レティシアはアルコールには弱いと言っていたはずなのだが…
怪訝に感じながら、彼女が三杯目を飲み干した時に私は彼女の手を止めた。
「もう少しゆっくりと飲んだ方が良い。
話をする前に酔い潰れてしまうぞ。」
「……そうね、わかったわ…」
「では、話を聞こう。
一体、どうやってアルフレッドさんを説き伏せようというのだ？」
レティシアは思いつめた表情で黙ったまま、その質問には答えなかった。
「レティシア…？」
「……子供が…私のお腹の中にはすでにあなたの子供がいると言うのよ。」
「子供が…？」
「そうよ。
つきあってるだけじゃ駄目だったとしても、子供が出来たといえばいくらなんでも無茶は言えないはずよ！」
「それはそうかもしれないが…そんな嘘は一時しのぎにしかならない。
時が来ても子供が生まれなければ、それですぐにバレてしまう。
それとも、誰かに赤ん坊を借りて来るあてがあるとでもいうのか？」
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