第4章…side ブルー4


「何!?アルフレッドの旦那がそんなことを…?」



このことは、座長にとっても大きな問題であることは間違いない。

なんせ、アルフレッドを怒らせればこの大陸での割りの良い仕事を打ち切られるかもしれないし、かといって、私がクリステルと結婚して一座を抜ければ、その穴は大きい。
私は、いまや、エスポワール一座の看板スターなのだから…



「聞いたか、ナターシャ…
困ったことになったもんだな。」

「そうだね。
でも、ブルーが結婚して一座を抜けることになっちまったら、この一座はおしまいだよ。
だから、結婚はなんとしても断らないといけないね。
…ただ、問題はその口実さ。
アルフレッドの旦那を怒らせないようなうまい口実を考えないとね…」

「あのぅ……」

突然の声に私達は一斉に振り向いた。



「レティシア!…聞いてたのか…」

「すみません。
立ち聞きするつもりはなかったんですけど、通り掛かりについ聞こえてしまって…」

「そうか…
とにかく、この話は他の者には言うなよ!」

「ええ、それはもちろん…!
……あの…それで、座長…」

「なんなんだ?」

「私……良いことを思い付いたんです。」

「良いこと?どんなことなんだ?」

「……あの…ブルーと私は実は以前から愛し合っていて…ちょうど、そろそろ結婚しようと考えていた所だったと…
このことは団員にも隠してたから言いにくかったということにしてはいかがでしょうか?」

下らない言い訳だ…私がそう思った時、座長が手を打った。



「なるほど!
心に決めた女がいるとなりゃあ、いくらアルフレッドさんでもそう無茶なことは言えないだろう!
よし、ブルー、アルフレッドの旦那にはそう言っとけ!」

座長はレティシアの提案にすっかり満足しているようだったが、そんなことで本当にうまくいくのだろうか…?
私にはとてもそんな風には思えなかったが、今はそれ以外にこれといって思い付く案もなく、結局、レティシアの言った通りにすることに決まってしまった。



次の日、私はアルフレッドに昨夜のレティシアの作り話を話した。

「クリステルさんとのお話なんですが…
実は、アルフレッドさん…
私にはすでに心に決めた女性がいるのです。」

「えっ!!
どなたなんです?
私の知ってる方ですか?」

「踊り子のレティシアです。
団員にも秘密にして、私達はずっと以前からつきあっていたのです。」

意外なことに、アルフレッドは私のその言葉に声をあげて笑い始めた。


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