第4章…side ブルー3


アルフレッドは団員の中でも私のことを特に気に入ってくれたようで、なにくれとなく親切にしてくれた。

私に家まで買い与えようとしてくれたが、他の団員の手前もある。
私はその申し出を丁寧に断った。

彼は、私達をモデルにして何枚もの絵を描いてくれたりもした。
それは玄人裸足の素晴らしい出来映えだった。

そして、ついには自分の遠縁の娘を嫁にもらわないかと言い出した。



「クリステルは、私が言うのもなんだがとても美しく頭も良い。
やや神経質で勝ち気な所はありますが、音楽の才能もある。
特にピアノの腕前は一流ですぞ。
会えば必ず気に入ると思います。」

「……ですが、私はアルフレッドさんもご存じの通り、旅から旅への落ち着かない暮らしです。
こんな私ではとてもその方を幸せにすることは出来ないと思います。」

「旅回りはやめられたら良いではありませんか。
クリステルの家は資産家ですし、あなたは経済的な心配をされることはないのです。
これからは音楽だけを純粋に極められたらいかがです?
そして、たまにうちの劇場を使ってコンサートをなされば良いではありませんか!
そうだ!
クリステルのピアノ伴奏であなたが歌う…
麗しき愛のハーモニーですな!
きっと素晴らしいものになりますよ!」

「……ですが…」

「わかっていますよ。
あなたはきっと思慮深い方なのですね。
結婚のことをそんなに急に決められるわけはありません。
ゆっくりお考えになれば良いのです。
しかし、会ってみないことには考えるも何もないではありませんか?
そうだ…!堅苦しい話は抜きとして会うだけ会ってみることに致しましょう!
結婚のことなど考えず気楽に顔合わせをするだけ…それならかまいませんよね?
うん、それが良い!」

アルフレッドは勝手に話を決め、満足そうに微笑んでいる。



結婚…?
そんなこと、出来るわけがないではないか…

人間の女に恋愛感情等感じられるはずがない。

第一、私は年を取らないのだ。
十年も一緒にいれば、いやでもそのことに気が付いてしまうだろう…
そのことについて問い詰められたら、一体、何と答えれば良いというのか…

しかし、困った…
何と言って断ろう…
会うだけは会ってから断った方が良いのだろうか?

私は、考えあぐねて、座長に相談することにした。


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