双子の王子様10
「さぁ、ミカエル、それにオニガワラさん…国民を待たせるわけにはいかない。
まいるぞ。」
「国王、オニガワラではなく、ガーラです。」
「お、お、おやじ!まいるぞって、ま、ま、ま、まさか!!」
国民の前で、ミカエル王子に双子の弟・カパエルがいたこと、そして、ミカエルとガーラの婚約が発表された。
さらに、ガーラのお腹の中には新しい命が宿っていることも…
ワイドショーでは生中継でミカエルの婚約の話題が流れた。
「千人斬りのミカエル王子、ついに婚約!」
「お相手は王妃と同い年のブスカワちゃん!」
「フィンラ国との国交はどうなる?!」
国民もガーラの容姿に度肝を抜かれた。
そのことで、ショックを受けてミカエルに幻滅する者もいれば、逆に容姿を気にする事なく中身で選んだんだと好感を持つ者と反応は様々だ。
(……あ……悪夢だ……)
ミカエルは、あの時、泥酔した自分を呪った…
*
「アンジェリーヌ…大丈夫?」
「ええ…もう大丈夫よ。
ありがとう、カパエル…」
「ねぇ、もしかしたら、ミカエルはさっきの怖い顔の人と結婚するの?」
「そうよ…」
「そ、そんな、ひどい!
アンジェリーヌがかわいそうだ!」
「いいのよ…私、実はほっとしてるんだから。」
「どうして?」
「私ね…やっぱり、あなたの方が好きなの…
自分の気持ちを偽ってミカエル様と結婚しようとした罰がくだったんだわ。」
「う、うそだ!
アンジェリーヌは僕のことなんて、本当はそんなに好きじゃないくせに…」
「そうしてそんなことばかり言うの?
私は本当にあなたのことが大好きなのよ!」
「嘘だ!
だって、アンジェリーヌは言ったじゃないか。
お互いが同じくらい大好きになったら、赤ちゃんが出来るって…
だけど、僕達に赤ちゃんは出来てない。
僕はこんなにアンジェリーヌのことが大好きなんだから、赤ちゃんが出来ないのはアンジェリーヌが僕のことをそれだけ好きじゃないってことだ!」
「そ、それは…
……あの時は嘘をついたの…」
「嘘…?」
「そう、恥ずかしかったから、嘘をついたのよ。
本当は…赤ちゃんが出来るのはそんなことじゃないの。」
- 178 -
しおりを挟む
コメントする(0)
[*前] | [次#]
中編集トップ
章トップ