双子の王子様9
「あれ以来、全然会いに来てくれないと思ったら、どっかの国のお姫様と婚約だなんて聞いたけど、まさか…本当のことじゃないわよね!」
「本当に決まってるだろう!」
「なんですって〜〜!!」
ミカエルの首に掴みかかる女を、ルーファスとラビッツが静止しようとするが、二人とも簡単に跳ね飛ばされてしまった。
「騒々しいな!なにごとだ!」
「あ、国王!」
「そなたは誰だ?」
「私は、ガーラというものです。」
「そのガーラとやらが、何用だ?
ミカエル、この者と知り合いなのか?」
「しりあいっていうか、なんていうか…」
「知り合い等ではありません!
私は、ミカエル王子と結婚の約束をしたのです!」
「な、な、な、なにを…!!」
「本当なのか?!ミカエル!」
「な、な、なにがかなしゅーて、こんなぶっさいくと結婚なんか!」
「ミカエル王子、よくもそんなひどいことを…!
あなた、あの時、言ったじゃないの!
結婚するからヤらしてくれって…!」
「あ、あの時は、俺はもう何もわからない程、べろんべろんに酔っ払ってて…
何を言ったか、何をやったかも覚えちゃいない!
そうでなけりゃ、おまえみたいなぶっさいくとそんなことするか!」
「ひ、ひどいわ!
私のおなかの中には、あなたの赤ちゃんがいるというのに…」
「え〜〜〜〜〜っっ!!!」
「ほ、本当なのか?
ミカエルの子を宿しているというのは…」
「ええ、本当です!」
「間違いなく、ミカエルの子なのか?」
「もちろんです!
私はあの日まで39年間、大切に純潔を守りとおしてきたのです。
でも、ミカエル王子が結婚してくれるっていうから、許したんです!
お疑いなら、DNA鑑定でもなんでもして下さい!」
「まぁ、あなた、私とおない年なのね…」
王妃が微笑む。
「おふくろ!笑ってる場合じゃないぞ!
俺はまだ18なんだぜ!
なんでおふくろとおない年のこんなぶっさいくな女と…」
「ぶっさいくでもおばちゃんでも、出来てしまったものは仕方なかろう…」
「し、仕方ないって、おやじ、まさか…」
「ミカエル様…今のお話は…」
「あ、アンジェリーヌ様…今のことはですね…」
「見そこないましたわ!」
「あ……ま、待って下さい!」
アンジェリーヌはミカエルの言葉に振り向きもせず去って行く。
その後ろを、カパエルが追いかけた。
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