双子の王子様7
「カパエル!喜んでくれ!
ついに、俺達、婚約が決まったぞ!」
「……こんやくって、なあに?」
「婚約ってのはな、結婚します!って、約束みたいなもんだな。
あと、十日もすれば、婚約パーティを開く。」
「……そうなの…おめでとう!ミカエル!
それで……赤ちゃんはまだなの?」
「赤ん坊?そりゃあ早く作りたいけど、さすがに今はまだ駄目だろう。」
「今は駄目…?
ねぇ、ミカエルとアンジェリーヌは、お互い同じくらい好き同士だよね?」
「バッキャロー!そんなことあるか!
俺よりもアンジェリーヌの方が俺の倍くらい、俺にぞっこんだろうな。」
「そうなんだ…だから…」
「とにかく、そういうことだからな。
お前も早く良い人みつけろよ!」
ミカエルは鼻歌を歌いながら、上機嫌でカパエルの部屋を後にした。
(おめでとう…アンジェリーヌ…
幸せになってね…)
*
やがて、瞬く間に月日は流れ、アンジェリーヌのドレスが縫いあがった。
「いかがです?アンジェリーヌ様。
最高級のシルクを使ったのですよ。」
「とても素晴らしいですわ。
でも、少し胸が開き過ぎてるんじゃないかしら?」
「そんなことはありません。
このデザインはあなたの美しさをさらに際立たせてくれると思いますよ。
では、婚約パーティは明日ということでよろしいですね!」
「そ、そんな急に…」
「なにも問題はないではありませんか?
ドレスの縫いあがる日を考えて、国民達にももう公表してあるのですよ。」
「……そうなのですか…」
「では、また明日お迎えに参ります。
今夜はゆっくり休んで下さいね!」
ミカエルの持ってきたドレスは、桃の花のように愛らしい色をしていた。
(明日、これを来て、私はみんなの前でミカエル様のお妃になる事を発表するのね…)
本当なら、幸せの頂点にいるであろうこの時に、アンジェリーヌの心の中は深く沈んでいた。
(こんな所に来て、まだカパエルの事を忘れられないなんて…
ミカエル様にも失礼だわ…
忘れなきゃ…
カパエルのことはすっぱり忘れなくては…!
そうだ!明日のパーティが終わったら、すぐにフィンラの国に発とう!
カパエルから離れれば…少しは忘れられるかもしれないから…)
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