双子の王子様6
「ありがとう、ミカエル…
君は本当に親切な人だね。
あ、そうだ…ミカエル、『どかん』ってどういうこと?」
「どかん?どかんってあのどかんのことか?
……そうだなぁ……あ、中身がないってことか?!」
「中身がない……あ……そういうことだったんだ…」
「どかんがどうかしたか?」
「ううん、なんでもない。ありがとう、ミカエル!
僕、早くお妃様を決めてみるよ。」
「うん、それが良いな!」
*
「アンジェリーヌ様、よろしいですか?」
「ミカエル様…どうぞ…」
「実は婚約のことなんですが…」
「ミカエル様、そのことなら…」
「アンジェリーヌ様、カパエルから話は聞きました。
あなたがマリッジブルーになられてるのではないかとカパエルもたいそう心配しておりました。」
「お聞きになられたのですか?ならば…」
「アンジェリーヌ様、あなたは今、ご自分で想われてる以上に心が不安定になられておいでなのですよ。
こんな時だからこそ、婚約パーティを開いてみんなにお披露目をして、そして楽しい雰囲気を味わっていただこうと思うのです。」
「でも、私は…」
「今日、カパエルに言われましてね。
弟の僕が先に結婚するわけにはいかないんだから、早く結婚してくれないと困る!って。
どうやら、カパエルの奴、好きな女性が出来たようですね。
あいつもすみにおけませんね。
晩生な私とは違い、あいつは発展家のようだ。」
「カ、カパエルに好きな女性が?!
カパエルは、私のことはなにか言ってませんでしたか?」
「とにかく、彼は今、自分のことが楽しくて仕方ないようでして…
ただ、早く結婚してくれとそればかりで、私も少し困っている所なのですよ。」
「……そうですか……
わかりました。
近いうちに婚約パーティを開きましょう!」
「おぉ、そうですか!
では、早速、準備にとりかからねば…!
あなたに最高のドレスを仕立てさせます!
それが出来あがったらすぐに婚約パーティといたしましょう!」
「ええ……お任せします…」
(これで良いんだわ…これで…)
アンジェリーヌはこぼれそうになる涙をぐっとこらえた…
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