双子の王子様3
アンジェリーヌの心は自分でも驚くほど揺らいでいた。
(良かった……
これでカパエルも幸せになれるんだわ。
私もお優しいミカエル様と結婚してこれからは二人でフィンラの国をしっかりと守っていくのよ。
これで良いんだわ。
今の状態がみんなにとって一番幸せなことなのだから…)
まるで、自分に言い聞かせるようにそんなことを考えてみたが、どうしてもすっきりしない…
(どうしてこんなに心が晴れないのかしら……そうだわ!
私、カパエルにまだ結婚の報告もしてないし、今までのお礼も言ってない。
だから、気が晴れないんだわ!
明日、カパエルに会ってそのことを話そう。
そうすればきっと……)
*
次の日、薪割りをしていたかパエルの所にアンジェリーヌが現れた。
「あ…あの…カパエル…よね!」
「あ、アンジェリーヌ…!!」
「カパエル…なのね?」
「そうだよ。ミカエルの顔だけど、僕、カパエル。」
「カパエル…あなた、王子様だったらしいのに、なぜ薪割りなんてしてるの?」
「僕、働くのが好きだから…」
(姿は変わっても、内面はまるで変わってないのね…)
「カパエル…ちょっと話したいことがあるんだけど、良いかしら?」
「うん、ちょっとなら良いよ。」
カパエルとアンジェリーヌは木陰のベンチに並んで腰を降ろした。
「カパエル…あなた、本当に変わったわね。
とってもカッコイイ人だったのね。
こんなにカッコイイんじゃ、きっと、お妃になりたいって人がいっぱい押しかけてくるわね。」
「そうかなぁ…?
僕、頭も悪いし、魔法もなかなかうまくならないから、お妃になってくれる人なんていないと思うよ。
でも、僕、この国のために一生懸命働くつもりだから、別に一人でも良いんだ。」
「そんなことないわ。
あなたはなんだって出来るじゃない!
もっと自分に自信を持たなきゃ駄目よ!
……魔法の修行も続けているのね。
偉いわ…」
「そんな風にいってくれるのはアンジェリーヌだけだよ。
本当にアンジェリーヌは優しい人だね。」
「私なんて……」
「……アンジェリーヌ…ミカエルのこと、よろしく頼むね。」
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