お見合い19


「そうだったな!
おまえが魔法で身体を入れ替えた…」

「そうです。
ですから、彼を人間に戻し、実は私には双子の兄弟がいたことにするのです。
そして、私はアンジェリーヌ様と結婚し、カパエルにはこの国の王子としてこの国を守ってもらうのです。」

「なるほど…かなり強引な嘘ではあるが…
それならうまくいきそうだな。
カパエルならきっとこの国のために尽くしてくれるだろう。」

「そうと決まれば、早くに取りかかりましょう!
いえ、国王と王妃はここでお待ちいただければ良いのです。
後のことはこの私が全てうまくやりますから。
では、これにて失礼致します。」

ミカエルは深深と頭を下げ、部屋を出て行った。



「あの子ったら、いつの間にあんなにしっかりして…」

「そ、そうだな…」



(しかし、あの敬語バージョンのミカエルはたいてい良からぬことを考えているのだが…
いや…今度はさすがに違うだろう!
きっと、真に目覚めたのだ…!
結婚するという事で、自分の立場をしっかりと考えるようになったのだ…きっと…)

国王は自らに言い聞かせるように心の中で呟いた。







「ルー爺〜〜!!」

「ははっ!ミカエル様、お呼びでございますか?」

「ここにカパエルを連れて来い。
誰にも見られないように気を付けるんだぞ!」

「誰にもみつからぬように…ですか?
わかりました。」



しばらくすると、カパエルを連れたルーファスが戻って来た。

「お連れしました。」

「なあに?ミカエル、何か用なの?」

「あぁ…カパエル…実は重大なことがわかったんだ。
長い話だから、しっかり聞くんだぞ。」

「うん、わかった!」

「実はな…おまえが人間の言葉をしゃべれることに私は前々から何か事情があるのではないかと思い、ずっとルーファスにおまえのことを調べさせていたのだ。」

不意にまったく身に覚えのないことを言われたルーファスは固まった。
しかし、ここで「えーーーー?!ワシ、そんなこと知りません!」なんてことを言ってはいけないことはミカエルの目を見ればすぐにわかった。
ルーファスは、固まったまま黙ってミカエルの話に耳を傾ける。


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