お見合い18
(チクショーー!
せっかくうまくいきかけてたのに、このままじゃダメになっちまう!
なんとかしないと…!!)
「国王…ミカエルです!」
「おまえと話すことなどない!」
「そんなことをおっしゃらずに…どうかここを開けて下さい。
良い案を思いついたのです!」
「良い案だと…?」
国王がようやくその扉を開いた。
二人はテーブルを挟んで向かい合わせに座る。
その傍らには心配そうな顔をした王妃が座っていた。
「どういうことなんだ?
アンジェリーヌ様がこちらへ嫁入りして下さることにでもなったか?」
「そうではありませんが…
私が、フィンラの国に行こうと思ったのはアンジェリーヌのためだけではないのです。
あの国と親密な関係になれば、この国はもっと豊かになり発展する事でしょう。
国民達も今よりもずっと幸せな暮らしが出来るようになるはずです。
私は、この国の民が愛しいのです!
この国や国民のためになるのなら、私は命よりの大切なこの国を離れ、フィンラの国に旅立つこともいといません…」
「ミカエル…あなた、そんなにこの国のことを…」
王妃は目頭をそっと押さえた。
「うむ…お前の気持ちはよくわかった…しかし、そうはいってもこの国が滅んでしまっては元も子もないのだ。
おまえがフィンラに行ってしまったら、この国を継ぐものはおらんのだぞ。
それはすなわち、この国が滅ぶこととなるのだからな。」
「そこで、私は考えたのです。
つまり、この国を継ぐものがいれば、何も問題はないわけです。」
「それはそうだが…しかし、そんな者がどこに…」
「カパエルです!
国王も王妃も、カパエルのことはとても気に入っておいでではありませんか。
彼は多少、頭は弱いですが、私と同じように善良な心を持っています。
彼ならきっとこの国を守っていってくれることでしょう…」
「なんと!カパエルを…!
しかし、彼はカッパではないか。
国民にはカッパから人間に戻ったって公表してしまったし、それでは辻褄があわんではないか!」
「国王…お忘れですか?
彼はもと人間なのですよ…」
「なにっ?!そんな話は知らんぞ。」
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