お見合い17






「ならん!ならん!なら〜〜んっっ!!」

ふだんは声を荒げることなどめったにない国王が大きな声を張り上げた。



「だって、親父!
俺が、アンジェリーヌと結婚したら、ゆくゆくはフィンラの国の国王になるんだぜ。
フィンラがどんな国なのか俺は詳しくは知らないが、とにかくどでかい国なんだろう?
そんな国が手に入ると思えば、こんなちっぽけな国にこだわることないじゃないか!」

「よくもおまえそんなことを…!
おまえは、この国の王子としての誇りを忘れたのか!
許さん!
アンジェリーヌ様との結婚は断じて許さんからな!!」

「なんだと〜〜っっ!!」

「あなた方、落ちついて…!」

「もうこれ以上おまえと話すことはない!」

「こっちこそ!」

ミカエルは、バタン!と乱暴にドアを閉めると足音を響かせながら部屋を後にした。



(ちっ、なんでぇ、なんでぇ、親父の奴…
こんなちっぽけな国にこだわりやがって…!)



「……ミカエル様…」

「あ、アンジェリーヌ様!」

「やはり…だめだったんですね?」

「い、いや、そういうわけではないのです。
なんでも、今、重要な仕事があるとかで、それが片付くまでもう少し待ってほしいとのことでした。
あなたはなにもご心配されることはありませんよ。
王の仕事が落ちつき次第、きちんと話しますゆえ…」

「……そうですか…」



しかし、それから一週間経っても二週間経っても、国王はミカエルに会おうとはしなかった。







「ミカエル様、やはり国王はお許しにならないのではないですか?」

「いえ、そんなことはないのです。
もう二、三日したら、話し合いをすることになってますから。」

「ミカエル様、ご無理なさらないで下さい。
国王がお許しにならないのも当然です。
私は国に帰りますから、ミカエル様もどうか私のことなどお忘れになって下さい。」

「ハハハ…
アンジェリーヌ様は本当に心配性なお方だ。
あと数日で話がつくと申しておるでしょう。」

「……本当に?
本当に大丈夫なのですか?」

「ええ、本当です。
あと数日の辛抱ですよ。」

ミカエルは、必死になって取り繕う。



「……わかりました…」


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