お見合い16
その日以来、カパエルはアンジェリーヌを避けるようになってしまった。
寂しさを感じるアンジェリーヌはその気持ちを埋めるかのようにミカエルの誘いを受けることが多くなっていった。
やがて、瞬く間に2ヶ月の時が流れ……
*
「アンジェリーヌ様、今日は薔薇を持って来ました。
最近のあなたはなんだかずっとおさびしそうですから、少しでも元気が出ればと思いまして…」
「まぁ…綺麗な薔薇…
ミカエル様、どうもありがとうございます。」
「喜んでいただけて光栄です。」
ミカエルが白い歯を輝かせながら、笑顔を見せる。
(この方…本当にお優しい方なんだわ…
カパエルの言う通り、こんな方と結婚したら幸せになれるかもしれない…
そうなったら、きっとカパエルも喜んでくれる…!)
「ミカエル様…結婚について、ちょっとご相談したい事があるのですが…」
「えっ!そ、それでは…」
アンジェリーヌは黙って大きく頷いた。
「本当ですか!アンジェリーヌ様!!」
(やっと俺の魅力に気付いたか!
時間はかかったが、頑張った甲斐があったってもんだぜ!
猫かぶるのももういいかげん限界だったからな!
あぁ、早く、あんなことやこんなことがやりてぇ〜!!)
「はい。
やっと自分の気持ちが固まったように思います。
ですが…1つだけ問題があるのです。」
「問題が?一体、どんなことなのですか?」
「実は…私は幼い頃に母を亡くし、父はその後再婚もせずずっと一人で生きてまいりました。
私には兄弟もいませんし、私がフィンラの国を継がねばならないのです。
ですが、あなた様はこのノルディーナ王国の大切な後継者です。
あなたのご両親は私との結婚をお許しにならないのではないでしょうか?」
「なんだ、そんなことですか。
そんなことなら、全然大丈夫です!
両親は私の言う事をとてもよく尊重してくれますから。
式はいつにしましょう!?
新婚旅行は?
あぁ、夢みたいです!」
「とにかく、そのことを国王様や王妃様とよくご相談なさって下さい。」
「あなたは心配性ですね。
では、今から話してきます。
なぁ〜に、何の心配もいりません。
すぐに戻ってきますからね。」
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