お見合い15


「そ、そう、そんなことがあったの…」

カパエルは、動揺を隠そうと作り笑いを浮かべた。



「でも、ここに来てまだニ週間なんですもの。
そんなこと言われても考えられないわよね…」

「そうだね…
でも…ルディ…じゃなくてミカエルは本当に良い人だよ。
僕にもとっても優しくしてくれた。
だから…ミカエルと結婚したら、アンジェリーヌはきっと幸せになれると思うよ…」

「……カパエルは…それで良いの?」

「え…っ?!
え…そりゃあ、もちろんだよ。
大好きな二人が幸せになってくれたら、僕、嬉しいよ。」

「……そうなの……
もし…私がミカエル様と結婚したら、あなたはどうするつもりなの?
またカッパの村に帰るの?」

「ううん…僕、ここでずっと働かせてもらおうと思ってる。」

「でも、それじゃあ…」

「良いんだ。僕は一生結婚出来なくても、一生懸命働きながら魔術の勉強でもしていくよ。」

「そんな……」

「それが僕にとっては一番の幸せなんだ。
あ、そうだ!
僕、明日からは一人で特訓するよ。
その分、ミカエルと会ってあげて。
ミカエルのことをもっと知ったら、きっともっと好きになると思うから…
……アンジェリーヌ…幸せになってね…!
あ!僕、いかなくちゃ!
夕飯の支度しないといけないから、ごめんね…」

「え…でも、まだ時間が……」



カパエルはアンジェリーヌの言葉に振り向きもせず、走り去ってしまった。



(アンジェリーヌ…さようなら…)



瞳にいっぱいたまった涙がこぼれおちないように顔を上に向けながら、カパエルは心の中でそう呟いた。



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