お見合い14
「……それだけですか?」
「え……?」
「男としての魅力は私にはないでしょうか?」
「そんなことはありませんわ。
その証拠に、あなたにはファンクラブまであって、たいそう人気者だということではありませんか。
お城にも毎日、ファンレターやプレゼントがあんなに山のように…」
「私が気になっているのはそんなことではないのです。
アンジェリーヌ様…あなたが、私のことをどんな風にお考えになっているのか…
それだけが気がかりなのです。」
「そ…それは…」
「私のことがお嫌いですか?」
「いえ…そんなことありません…」
「では…私と結婚していただけますか?」
「そ、そんな突然……」
「もしかして、他に好きな方がいらっしゃるのですか?」
「……いえ……」
「……では、私との結婚のことを前向きに考えていただけますね!」
「………は…はい。」
「本当ですか!」
「今すぐというわけではありません。
まだ、時間はかかると思いますが……考えてみます。」
「ありがとう、アンジェリーヌ様…」
(ふっふっふっ…ついにやった…!
やっぱり、カッパのことなんて関係なかったんだ。
当たり前だよな。
人間とカッパが恋に落ちるなんてありえねぇ!
あと一押しだ!)
*
「アンジェリーヌ、どうしたの?
今日はなんだか元気ないね。」
「なんでもないわ。
心配かけてごめんなさいね…
さ、魔法の特訓を始めましょう!」
(ミカエル様は本気なのね…
確かに、ミカエル様は良い方だけど…
まだ、ここへ来て二週間ですもの。
急に気持ちを決めろって言われても、そんなの無理よね…
もうしばらくしたら…もっとミカエル様のことを知れば…好きになれるのかしら…?)
「……!アンジェリーヌ!!」
「あ!カパエル!
何?どうしたの?」
「今の見てくれてなかったの?
昨日より大きな炎が出せたんだよ!」
「あ…ごめんなさい…ぼんやりしてて。
もう1回やってくれる?」
「アンジェリーヌ…今日のアンジェリーヌはおかしいよ。
なにかあったの?」
「それは…」
「僕はカッパだから、あんまりたいしたことは出来ないかもしれないけど、良かったら話してみて…」
「カパエル、ありがとう…
……実はね…」
アンジェリーヌは、ミカエルからプロポーズを受けたことをカパエルに話した。
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