お見合い13
アンジェリーヌがノルディーナ王国に来てから、早や二週間の時が流れていた。
「えいっ!」
呪文を唱え、カパエルが指差した先に小さな炎の塊りが現れた!
「上手よ!カパエル!今度は水の呪文であの炎を消すのよ!」
「うんっ!」
カパエルが再び呪文を唱え始める。
「えーいっっ!」
カパエルの指差した先に水のかたまりが現れ、真っ赤な炎はじゅうじゅうと音を立て白い煙を立ち上らせて消えた。
「よく出来たじゃない!すごいわ、カパエル!」
「ありがとう、これもアンジェリーヌのおかげだよ。」
「そんなことないわ。
あなたが一生懸命頑張ったからよ。
疲れたでしょう?さ…あそこでちょっと一休みしましょう。」
ベンチに並んで座り、楽しそうに話す二人を柱の影から鋭い目つきでみつめる者がいた…
(チッ!また、カッパの相手かよ…)
アンジェリーヌがこの国に滞在してくれたのは嬉しいが、ミカエルがどこかに誘ってもアンジェリーヌは夕方近くになると、用があると言ってそそくさと帰ってしまう。
一体、何の用事があるのかとのぞいてみると、カパエルに魔術を教えているのだ。
(アンジェリーヌの奴、なんだってあんなカッパにあんなに一生懸命なんだ?
もうニ週間になるっていうのに、チューどころかまだ手も握らせてもらえないなんてありえねぇ!
普通の女だったら、ほとんどその日のうちに即、合体だぞ!
なんで、アンジェリーヌには俺の魅力が通じないんだ?)
ふと見ると、大きく口を開けたカパエルに、アンジェリーヌがキュウリを食べさせている。
(な、なにやってるんだ、あいつら?
まるで、ラブラブカップルみたいじゃないか!
……ま…ま…まさか…!!
アンジェリーヌの奴、カパエルのことを…
い、いや、そんなことはありえない!
なんたって、あいつはカッパなんだからな。
いくらなんでもそんなことはないよな…でも…)
次の日、ミカエルはいつものようにアンジェリーヌを散歩に連れ出した。
「アンジェリーヌ様、いかがですか?
とても美しい眺めでしょう?」
「ええ…本当に美しい湖ですわ…」
「アンジェリーヌ様…
単刀直入に聞かせていただきますが…私のことはどうお思いですか?」
「え…っ?!
……ええ…とてもお優しくて良い方だと思っています。」
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