お見合い10


「君は誰?」

「………え………?
な、何を言ってやがる!
俺は、さっきも言った通り、この国の王子・ミカエルだ!」

「そんなわけないよ!
僕が、ミカエルだもん!」

「カッパさんから聞いた所によりますと、カッパさんは元々は人間でそれもこの国の王子・ミカエル様だということ。
なんでも、幼い頃に魔法でカッパにされたのだとお聞きしましたが、それではあなた様は一体どなたなのですか?」

「それはですな…」

ルーファスが事情を説明しようとした時、ミカエルがルーファスを静止する。



「それは、私が説明いたしましょう。
実は、私は幼い頃にある極悪の魔法使いにしなびたおっさんに変身させられたのです。
きっと私がものすごく可愛かったことが魔法使いの嫉妬を買ってしまったのでしょう。
そして、この城から遠く離れた町に連れて行かれました。
それからは、その風貌のせいでそれはもうとんでもない苦労をしましたが、そんな茨の道を私はどうにか耐えしのび生き延びました。
そして、ある日、そのカッパ・カパエルに出遭ったのです。
カパエルはかなりのあほですから、町のみんなからいじめられていたのです。
可哀想に思った私は、そのカッパを引き取りました。
自分自身のことで精一杯な状況だったのですが、私はどうしてもその可哀想なカッパを見捨てることが出来なかったのです。
やがて、私のその清らかな気持ちが天の神様にでも通じたのでしょうか?
私は忘れていた過去の記憶を取り戻し、カパエルと共にこの城へ戻ってまいったということなのです…」

ミカエルはわざとらしくハンカチで目頭を押さえる。



「ルーファス殿…今の私の話に間違いはありませんな?」

ハンカチの奥から、ミカエルの鋭い視線がルーファスに突き刺さる。



(や…殺られる…!!
本当のことをしゃべったら、ワシはミカエル様にこの世から抹殺されてしまう…!!)




「は、は、は、はい!!
さようでございます!
ミ、ミカエル様のお話に間違いはございません!」

上ずった声で震えながらルーファスが答える。



「カパエル、私のことを忘れたのか?
可哀想に…カパ子のことがよほどショックで記憶が混乱してしまったんだな。」

「え……でも、僕…」

「そうだ!カパエル!私は以前、ルディと呼ばれていたんだよ!
ほら、あのしなびれておっさん臭い…」

「えっ!ルディ?!
本当にルディなの?」


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