お見合い9
「どこだ?どこだ?
アンジェリーヌちゃんはどこなんだ!」
「ミカエル様!そんなブラブラのままで行かれては、アンジェリーヌ様が驚かれますぞ!
まずは、身支度を整えて下され!」
「そ、そうだったな。
ラビッツ、すぐにこの国で一番ナウい服を用意してくれ!」
「はっ!」
ラビッツのおかげで、思ったよりもずっと早くに城へ帰ることが出来たミカエルはアンジェリーヌに会いたい気持ちを押さえるのに必死だった。
ラビッツに着替えを頼む間もすっかり夢心地だった。
*
「ノルディーナ王、ミカエル王子のことなのですが…」
「ミカエルならじきに戻ります。
そんなことより、次は、民族舞踊を見ていただきましょう!」
アンジェリーヌ王女が、ミカエルとの見合いのために来たのではないことは、王もそれとなく感じていた。
(こんな賢そうで美しい大国のお姫様が、うちのミカエルなんかを相手にするはずはないもんなぁ…)
しかし、せめてミカエルに一目だけでも会わせてやりたいとの親心から、王は話をはぐらかしてはどうでも良い見世物で場を繋いでいた。
「わぁ〜!みんな綺麗〜!!」
カパエルがどの見世物も喜んではしゃぐため、なんとかその場は保ててはいたが、それももうそろそろ限界のようだ。
(ルーファスの奴…まだ、ミカエルをみつけることが出来んのか!!)
その時、不意に大袈裟なファンファーレが鳴り響き、みんなが見つめる先に昭和の漫才師のような格好をしたミカエルが現れた!
ささっと左右ににわかれた民族舞踊団員の間の道を、きんきらのスーツに身を包んだミカエルがスター気取りで歩いて来る。
「これはこれは、ようこそ、アンジェリーヌ王女!
私が、当ノルディーナ王国の王子、ミカエルでございます。」
ミカエルの差し出す手の平に、カパエルが一粒のウメボシを乗せた。
ミカエルは、おもむろにそのウメボシを口に入れる…
「う〜ん、ウメボシ食べてスッ●マン!…って、ごるぁぁぁーーー!!何をさせるんじゃい!!」
「ぎゃーーー!」
胸倉を掴まれたカパエルは絶叫する。
「まぁ!乱暴な!なにをなさるの!」
バシーーーン!
アンジェリーヌの平手打ちがミカエルの左頬にヒットした。
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