お見合い8


やがて、五軒目の店を訪ねた時のことだった。
やけに古ぼけた和風の建物の入口には、逆さまになった温泉マークが描かれている。



「まさか、こんな所にはいらっしゃらんじゃろう。」

「念のためです!聞いてみましょう!」



「あの…もし…ここにノルディーナの王子、ミカエル様は…」

「あぁ、ミカエル様なら二階にいるよ!」

「ええーーーーーっっ!」



店の婆さんに教えられた部屋に行ってみると、派手な布団ですやすやと眠るミカエル王子がいた。
その傍らにはどこからどう見ても醜くゴツイ女が寝ている。



「な、な、なんと!!
ミカエル様!起きて下さい!」

「……ん…ルー爺か…
どうした…?」

「ミカエル様、なんでこんなぶっさいくな女と…!!」

(「おい、こら!そんなことじゃないだろう!」とラビッツは心の中で囁いた。)

「え……?
う、うわぁ!なんだぁ、こいつ!?」

ミカエルは隣の女を見て跳ね起きた。



「ふわぁ〜、なによ、うるさいわねぇ…」

「お、お、おまえ!誰だ!
なんだってこんな所に!」

「何言ってるのよ!
昨夜、さんざん口説いて無理矢理こんな所まで連れてきたくせに!」

「昨夜…って。
昨夜は、皆で飲み比べをして…その後の事なんて全く覚えてないぞ…」

「ミカエル様、いくら酔っ払っていたとはいえ、なぜにここまでぶっさいくな女と…」

「なによ!爺さん!
さっきからぶっさいく、ぶっさいくって!」

「ルーファス様、今はそんなことを言ってる場合ではありませんぞ!」

「何か、あったのか?」

「はっ!先程、フィンラの姫様がお城の方に…」

「なにぃ!アンジェリーヌちゃんが…!
それを早く言え!」

すぐさま外へ飛び出そうとするミカエルをルーファスが押さえる。



「ミカエル様!せめてパンツくらいはかないと捕まってしまいます!」

「そんなもの構うもんか!
ラビッツ、おまえの俊足で城までひとっ走り頼むぜ!」

「はっ!」

ラビッツはミカエルを背負い、ルーファスを肩車するとお城へ向かって一目散に駆け出した。



ドドドドドーーーーー

ひぇぇぇぇぇぇーーーーーー!

ぎぇぇぇぇぇ〜〜〜〜!


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