お見合い7
「ルーファス、まことか!
まこと、フィンラの姫君がここへ来られたと申すのか?!」
国王はまだ信じられないといった表情で尋ねた。
「はい!ただ今、貴賓室にてお待ちでございます。」
「き、奇蹟だ…とにかく急がねば…!
そうだ、ルーファス!
すぐにミカエルを探して来てくれ!」
「ミカエル様をですか?
して、ミカエル様はどちらへ?」
「そんなこと言わずともわかっておろう!」
「はて…?」
ラビッツが、ルーファスにそっと耳打ちする。
「はっ!わかりました!
では、今すぐに…!」
ルーファスとラビッツは、ミカエルを探しに繁華街へと駆け出した。
ところが、まだ時間が時間のため、ミカエルの立ち寄りそうな店はどこもまだ閉まっていたり、準備中ばかりだった。
「困ったのぅ…ミカエル様は今、どこにいらっしゃるのだろう?」
「お城へお戻りではない所をみると…
あそこしかありませんな…」
ラビッツの瞳が妖しく光る。
「あそこ……?」
ラビッツがルーファスを連れて行ったのは、繁華街の奥にあるラブホ●ルの立ち並ぶ一角だった。
「おぉ〜!こんな所にお城が…!
なんと!自由の女神もおるぞ!」
「おそらく、ミカエル王子はこのあたりのどこかにおられるはず…
一軒一軒当たっていくしかありません。」
「えーーーっっ!
お前と一緒にこんな所に入っていったら、お前との仲を誤解されるんじゃあ…」
「つまらぬことを言ってないで…ささ、行きますぞ!」
ラビッツに促され、彼の後をついていくルーファスは、行く先々で「おぅ!」「わぉ!」「ほぉ!」と奇怪な声を上げ続けた。
「ルーファス様、おかしな声を出すのはおやめ下さい!」
「だって、だって、お前も見たじゃろ?
さっきの部屋の中には…ピー…
それに、その隣の部屋には…ピー…」
「ルーファス様!そんなものばかりみていないで、真面目にミカエル様を探して下さい!」
- 155 -
しおりを挟む
コメントする(0)
[*前] | [次#]
中編集トップ
章トップ