お見合い4
「そんな…
あなたのご両親はきっとあなたのことを心配なさってるはずよ。
知らせなきゃだめよ!」
「……でも、僕、駆け落ちなんてしちゃったし…
それなのに、ふられちゃったし…
きっとみんな怒ってると思うし…」
「そんなことないわ!
それに、人間にも戻らなきゃ!
私もなにかあなたの力になれることがあるかもしれないわ!」
「良いんだ…僕、もうカッパのままで良い。
人間に戻ってもあんまり良いことなさそうだし…
ねぇ、アンジェリーヌ…僕をここでペットとして飼ってよ。
今みたいに良い部屋じゃなくて馬小屋でもどこでも良いから、僕をずっとこのお城に置いてもらえないかな?
僕、一生懸命働くから!」
「馬鹿っっ!
そんなことを言うカパエルは嫌いよ!
悪いことをしてしまったら、心の底から謝れば良いの。
失敗したって、何度でもやり直せるわ。
格好悪かったっておっさん臭くったって、真面目に一生懸命生きていればあなたのことを本当に好きになってくれる人が現れるわ!
そりゃあ、大変なこともあるかもしれないけど、あなたなら頑張れるはずよ!
ね!カパエル…
私も一緒に付いていってあげるから、ノルディーナに帰りましょう!」
「……でも……」
「……わかったわ。じゃあ、今夜一晩ゆっくり考えなさい。」
*
次の朝…
「アンジェリーヌ…僕、帰るよ。
アンジェリーヌの言う通りだよね。
みんなに心配かけちゃいけないよね。
カパ子ちゃんのことも話すよ。」
「偉いわ、カパエル!
あなたならきっとそう言ってくれると、私、信じてたわ。」
アンジェリーヌは、早速、ここまでのいきさつを国王に話した。
「…ということなので、私、カパエルと一緒にしばらくノルディーナ王国に行って参ります!」
「ノルディーナ王国だって?…ちょっと待ちなさい。
少し前に、ノルディーナ王国から手紙が来ていたはずだぞ。
見合いの申し込みだったから、どうせ、お前に見せても見向きもしないと思って見せなかったのだが…」
「お見合いの?
カパエルにはご兄弟がいるのかしら?」
「あった、あった。これだ。」
国王は、ポーズを決め、とびっきりの笑顔で微笑むミカエルの写真を差し出した。
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