お見合い3






「えいっ!」

カパエルが呪文を唱え、指差した先には一瞬小さな火柱が立っただけだった。



「あぁ…また失敗だ…
どうして僕はアンジェリーヌみたいにうまく出来ないのかなぁ?」

「焦ることはないわ。
毎日真面目に練習していたら、少しずつでも必ず成長していくものよ。
最初の頃は今みたいな火柱だって立たなかったじゃない。
ちゃんとうまくなってきてるんだから、心配しないで頑張りましょう!」

「うん、わかった!
僕、頑張るよ!」

カパエルは、また呪文を唱える。
うまくはいかないけど、それでも何度も何度も…







カパエルがフィンラのお城に来て、早くも一ヶ月の時が流れていた。



「ねぇ、カパエルはどうしてそんなに魔術師になりたいの?」

「なんでかはっきりとはわからないんだけど、小さい頃から憧れてたんだ。
僕、頭も悪いし格好良くもないし…
きっと、何かで認められたいって思ったのかもしれない…」

「まぁ、あなた、自分のことをそんな風に思ってたの?
あなたはお料理はうまいし、大工仕事や彫刻や植物の手入れから、まるで本職の職人並みになんでも上手に出来るじゃない!
それに、あなた、とっても可愛いわよ!」

「違うんだ…僕……本当はカッパじゃなくて人間なの…」

「えっっ!!まさか…
それはどういうことなの?」

「実は僕…本当は人間なんだけど、事情があって小さい頃に魔法でカッパにされてしまったんだ。」

「カパエル!それ、本当の話なの?」

「うん、僕、ノルディーナ王国っていう国の王子様なの。
でも、顔はあんまり格好良くないし、なんでかわからないけどおっさんによく間違えられるんだ。
僕、まだ18歳なのに…」

「ノルディーナ王国…?聞いたことがないわ…
あ!わかった!だから、あなた、最初にここに来た時、『ノルディーナのお城?』って聞いたのね!
でも、どうしてお城から出てきたの?
それに、どうして人間に戻してもらえないの?」

「それは…カパ子ちゃんとのおつきあいを反対されて…
それで、駆け落ちして来たの。
魔法はみんながいろいろ頑張ってくれたんだけど、なんでか解けなかったんだ。」

「まぁ!そうだったの。
それで、あなたが今ここにいることは、国には知らせてあるの?」

「ううん。僕、もう国には帰るつもりないから…」


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