優しいお姫様3
「まぁ、そんなことが…」
「辛い想いをされたのですな…」
アンジェリーヌは、白いハンカチでカパエルの涙を優しく拭った。
「ありがとう、アンジェリーヌ。
アンジェリーヌはとても優しいんだね。
それにひきかえカパ子ちゃんは…!」
「カッパさん、そんなことを言ってはダメよ!」
「だって、カパ子ちゃんは僕と結婚するって約束してたのに、僕が海底トンネルで一生懸命働いてる間に違うカッパと結婚してたんだよ!」
「……カッパさん…あなたはカパ子ちゃんが大好きだったんでしょう?」
「……そうだよ。」
「カパ子ちゃんは結婚してもうじき赤ちゃんが産まれるって言ってたのよね?
その時のカパ子ちゃんはどんな感じだった?」
「どんなって…そりゃあ、すごく嬉しそうで…」
「カッパさん、あなたはあなたの大好きな人が…いやカッパが、嬉しそうで幸せそうにしてるのと、悲しそうに泣いてるのとではどっちが良い?」
「え……そりゃあ……」
「私もカッパさんが泣いてるのを見たらとても悲しい気持ちになったわ。
どんな人でも笑顔でニコニコしてるのが一番良いと思わない?
誰かのニコニコしてる顔を見たら、こっちまで楽しくなって来ない?」
「……アンジェリーヌ……
そうだね!
アンジェリーヌの言う通りだね!
カパ子ちゃん、本当に嬉しそうで幸せそうだったし…
……これで良いんだね…」
カパエルの瞳からは、大粒の涙がぽろぽろこぼれた。
「カッパさん、あなたにもきっとそのうち素敵なお嫁さんがみつかりますよ。」
「本当?僕にも本当にお嫁さんがみつかる?」
「ええ、ええ、みつかりますとも。」
「可愛い赤ちゃんも出来る?」
「ええ、ええ、出来ますとも。」
「本当に…?
あ…そういえば、赤ちゃんってどうやったら出来るの?」
「えっっ?!」
アンジェリーヌと国王の顔が赤く染まった。
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