第10章…優しいお姫様1
*
「カパ子〜〜!!」
「じいちゃん!!」
カパ子とリカルドは強く抱きあった。
リカルドは、カパ子の顔を見た瞬間からすでに号泣している。
「じいちゃん、これ、旦那のカパディです。」
「初めまして!カパディです。」
「なんと?!おまえの結婚相手はカパエルではないのか?」
「違うの、カパディとはここに来て一目で恋におちたの…きゅ〜」
「カパ子、それでカパエルはどうしたのじゃ?」
リカルドの後ろから顔を出したルーファスがカパ子に尋ねた。
「それが…カパエルは何日か前にこの村を出ていったみたいなの…」
「村を出たと?!
一体、どこに行ったんじゃ?」
「そんなの知らない…」
「冷たいのぅ…」
「ルーファス、ワシはこのままこの村にとどまり、カパ子と暮らすことにする!
今まで世話になったな。」
「何っ?!おまえ、本気なのか?ここはカッパの村なのだぞ。」
「カッパの村だろうが、妖怪の村だろうがそんなことは関係ない。
カパ子と一緒にいられるならワシはそれだけで…」
「じいちゃん…!」
「……そうか…では達者でな。」
ルーファスとラビッツは手を振りながらリカルドに別れを告げた。
「ルーファス様、これからどう致しましょう?」
「そうじゃな…」
「あのぅ…あなた様は、カパエルのお知り合いで?」
二人に声をかけて来たのは見知らぬカッパだった。
「いかにもそうじゃが…
そういうおまえさんは?」
「私は、この村の村長代理をしておるカパリックというものです。
実はカパエルのことなのですが…」
カパリックはこれまでのいきさつをルーファスに話して聞かせた。
「そうか、そうだったのか…それは気の毒にのう…」
「早くカパエルをみつけてやって下さい!
カパ子のことで彼は相当にハートブレイクしているはずです。
馬鹿なことをしでかしやしないかと心配で…」
「ば、馬鹿なこと!?
わ、わかった!カパエルはわしが必ず見つけてみせる!」
カパリックにはそう言ったものの、ルーファスにはカパエルの行き先に心あたりはまるでなかった。
「カパエルの奴、どこへ行ったものやら…」
「お城へ戻っていれば良いのですが、すぐにお城に帰るとも思えません。
とにかく、このあたりから地道に探してみましょう…」
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