現実2
*
(あぁ…お陽様の光が眩しい…)
湖底トンネルの工事が無事終わり、カパエルは久しぶりに地上に出てきた。
湖底に潜ってからの約五ヶ月間、必死で働いた甲斐があり、カパエルの手元には家を建てるのに十分なお金が入っていた。
(カパ子ちゃん、これで僕達やっと結婚出来るね!)
カパ子の住む村長の屋敷への足取りも軽い。
*
「カ、カパエル!!」
「あ!カパリックさん!」
「こんな所におったのか!
今日、湖底から帰って来ると聞いて迎えに行ったんじゃが、どうやら入れ違いになってしまったようじゃな。
さ、家で無事に帰ってきたお祝いのパーティをしよう!」
「ありがとう!カパリックさん!
でも、僕、その前にカパ子ちゃんに…」
「カパ子…?
そんなものはあとで良いではないか。
今日のパーティにはカワイコちゃんもたくさん来るぞ!
さぁ、早くうちに行こう!さ、さ!」
「でも…僕、やっぱり、カパ子ちゃんに…」
「あらっ?もしかしたらミカタン?」
噂をすれば影…
二人が振り向いた先には、カパ子がいた。
「あ!カパ子ちゃん!」
カパエルが喜んだのも束の間、カパ子の隣にいるイケメンのカッパがカパ子の手を握っているのに気が付いた。
「あ、村長!」
「村長さん…?」
(こんな若いカッパが村長さんだったのか〜…でも、なんでカパ子ちゃんの手を…?)
「ミカタン!ひさしぶり!
元気にしてた?」
「う、うん!僕は元気だよ。
ついさっき湖底から帰ってきたんだ。」
「カパ子、誰なんだい?」
「あぁ、昔のお友達のミカタンよ。
ミカタン、これは私の旦那のカパディ。
この村の村長よ!」
「旦那……?」
(…あ、働いてるお屋敷の旦那様ってことか…)
「そうなの。
初めまして、カパディさん。
僕、カパエル。
あ、それでね、カパ子ちゃん!
僕、一生懸命働いたからお金がいっぱい貯まったんだ!
だから、これでお家を建てて結婚出来るんだ!」
「そう!それは良かったわね〜!
ミカタンも早く結婚してあたち達みたいに幸せになってね!」
「え……?!」
「でも、あたち達みたいに出来ちゃった婚になっちゃダメよ〜
きゅ〜」
カパ子は赤くなって照れている。
「え……??」
「じゃあ、またね〜!」
カパ子とカパディは手を振りながら去っていった…
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