第8章…変身1


「ルー爺!カパエルの行方はまだわからんのか!」

「皆で八方手を尽して探しているのですが、いまだ手掛りの一つさえみつからず…
誠に申し訳ございませんっ!」

「本当に真剣に探してるのか〜!!」

ルディは、ルーファスを力一杯前後に揺さぶる。



「ふぁ、ふぁい、それは、もう、しんくぇんに…」

よろけながらルーファスが答える。



「ルー爺!もう半年だぞ!
こんなに探しても手掛かり1つみつからないなんておかしいじゃないか!
カッパのカップルなんてめったにいないんだから、かなり目立つはずだ!
目撃者がいたら行方なんてすぐにわかるはずじゃないか!」

「しかし、その目撃者がみつからんのです。」

「どういうことだ?」

「さぁ…」

「さぁじゃないだろ、さぁじゃ!
ルー爺!俺が世間でなんて呼ばれているか知ってるのか?
『おっさん王子』だぞ。
先週なんて、女性週刊誌の「抱かれたくない有名人」の第3位に入っちまったんだぞ!
カッパ王子はそれなりに人気があったらしいが、俺はものすごく人気がないぞ!
しかも、俺がこんなおやじになってしまったいきさつをなぜ公表してないんだ?」

「ですが、ミカエル様!
人間になりたい一心とはいえ、あほなおやじを騙してカッパの姿と交換したなんてことがバレたら、ますます評判が落ちますぞ。
ですから、王子様はやっとカッパから元に戻られたが、今までのご苦労のせいでやつれておられると…そういうことにしておいたのです。」

「く…」

確かに、そんなことがバレたら性格が悪いということでますます評判は落ちるだろう。
ルックスも悪い、性格も悪いとなれば、次回の「抱かれたくない男ランキング」で1位に選ばれてしまうかもしれない…
なんとしてもそれだけは避けたいとルディは思った。



「おお、そうじゃ!」

「どうした?何か良い案を思い付いたのか?」

「ミカエル様!『おっさん王子』のグッズを作ってはいかがでしょう?
フィギュア付きのストラップとかを作れば、『きもかわぃぃ〜!』な〜んて、若いギャル達にも人気が出るのでは…?」

「おぉっ!それは良いアイディアだ!
……な〜んていうわけないだろうが〜!!
もっと真面目に考えんかい〜〜!」

「す、す、すびばふぇん!」


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