カッパーポンの村3
「ほ、本当?村長さん!
僕達、ここに住んで良いの?」
「あぁ、かまわんぞ!
……村長代理じゃが…」
「ミカタン!これで私達、幸せになれるのね!」
「カパ子ちゃん!!」
ひしと抱き合おうとした二人の間にカパリックが割り込む。
「とりあえずじゃな…
カパエル、おぬしはわしの家。
カパ子は、村長さんのお屋敷で住み込みで働いてもらおうかの。」
「えっ?僕達、一緒に暮らせないの?」
「当たり前じゃ。
おぬし達は家さえ持っとらんのじゃからな。
この村では、家を持たん者は結婚出来んのじゃ。
一緒に暮らしたかったら、バリバリ働いて早く家を建てて結婚することじゃな。」
かくして、二人は村長と村長代理の屋敷でバリバリ働くことになった。
*
「いや〜、カパエル!
おぬしはたいしたもんじゃな。
料理も掃除も大工仕事もプロ級の腕前じゃないか!
しかも、朝から晩まで本当によく働いてくれているな。
特別に、給料アップじゃ!」
「カパリックさん、ありがとう!!」
カパエルは、脇目もふらず一生懸命働いた。
(カパ子ちゃん、どうしてるかなぁ…
早く会いたいなぁ…
そのためにはいっぱいお金を貯めて、家を建てなくちゃ!
カパ子ちゃん、僕、頑張るから待っててね!!)
しかし、カッパーポン村の地価は高い。
なんたって、ナウなヤングの憧れの都会なのだから。
家を建てるためにはまだまだバリバリ働く必要がありそうだ。
「カパエル、湖底のトンネル工事の仕事があるんじゃがやってみるか?」
「トンネル工事?」
「そうなんじゃ。
一旦入ったら完成するまで帰っては来れん過酷な環境じゃから、人手が足りんのじゃ。
しかも、かなり辛い作業じゃが、その代わり給料はええぞ。
おまえならやれると思うが、どうするかな?」
「僕、やってみます!」
湖底に下りる日、村長の家を抜け出したカパ子が見送りにやってきた。
「ミカターーーン!」
「あ、カパ子ちゃん!」
「ミカターーーーン!!」
カパ子は泣きながら、ちぎれる程に手を振っている。
「カパ子ちゃん…待っててねーーー!
僕、頑張って来るから〜〜〜!!」
カパエルを乗せたエレベーターは湖底深くに沈みこんでいく…
(カパ子ちゃん…)
カパエルの瞳にも一筋の涙が光った…
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