カッパーポンの村3


「ほ、本当?村長さん!
僕達、ここに住んで良いの?」

「あぁ、かまわんぞ!
……村長代理じゃが…」

「ミカタン!これで私達、幸せになれるのね!」

「カパ子ちゃん!!」

ひしと抱き合おうとした二人の間にカパリックが割り込む。



「とりあえずじゃな…
カパエル、おぬしはわしの家。
カパ子は、村長さんのお屋敷で住み込みで働いてもらおうかの。」

「えっ?僕達、一緒に暮らせないの?」

「当たり前じゃ。
おぬし達は家さえ持っとらんのじゃからな。
この村では、家を持たん者は結婚出来んのじゃ。
一緒に暮らしたかったら、バリバリ働いて早く家を建てて結婚することじゃな。」



かくして、二人は村長と村長代理の屋敷でバリバリ働くことになった。







「いや〜、カパエル!
おぬしはたいしたもんじゃな。
料理も掃除も大工仕事もプロ級の腕前じゃないか!
しかも、朝から晩まで本当によく働いてくれているな。
特別に、給料アップじゃ!」

「カパリックさん、ありがとう!!」

カパエルは、脇目もふらず一生懸命働いた。



(カパ子ちゃん、どうしてるかなぁ…
早く会いたいなぁ…
そのためにはいっぱいお金を貯めて、家を建てなくちゃ!
カパ子ちゃん、僕、頑張るから待っててね!!)

しかし、カッパーポン村の地価は高い。
なんたって、ナウなヤングの憧れの都会なのだから。
家を建てるためにはまだまだバリバリ働く必要がありそうだ。



「カパエル、湖底のトンネル工事の仕事があるんじゃがやってみるか?」

「トンネル工事?」

「そうなんじゃ。
一旦入ったら完成するまで帰っては来れん過酷な環境じゃから、人手が足りんのじゃ。
しかも、かなり辛い作業じゃが、その代わり給料はええぞ。
おまえならやれると思うが、どうするかな?」

「僕、やってみます!」



湖底に下りる日、村長の家を抜け出したカパ子が見送りにやってきた。

「ミカターーーン!」

「あ、カパ子ちゃん!」

「ミカターーーーン!!」

カパ子は泣きながら、ちぎれる程に手を振っている。



「カパ子ちゃん…待っててねーーー!
僕、頑張って来るから〜〜〜!!」



カパエルを乗せたエレベーターは湖底深くに沈みこんでいく…



(カパ子ちゃん…)

カパエルの瞳にも一筋の涙が光った…


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