カッパーポンの村2
「あ、ミカタン!
あそこにお池があるよ!」
「本当だ!」
「甲羅も乾いて来たところだし、久しぶりに泳ぎましょうよ!」
「うん!そうだね!」
二人は仲良く池の中を泳ぎ出す。
「ミカタン、気持ち良いね〜!
それに、このお池の水、とっても綺麗!」
「本当だね。綺麗な緑色だね。」
「ミカタン、これはエメラルドグリーンっていうのよ。」
「そうなの?
カパ子ちゃんは物知りなんだね!」
すいすいと池の中を泳いでいると、池の中ほどあたりに小さな渦をみつけた。
「カパ子ちゃん!あそこにぐるぐるがあるよ!」
「ミカタン!近付いちゃだめよ!危ないわ!」
「えっ?そうなの?ぐるぐるは危ないの?
あ…あ…あれ…??」
渦を見続けたカパエルは、すっかり目を回してしまった。
「か、カパ子ちゃん…
僕、頭が…きゅ〜〜〜〜」
「ミ、ミカタン!
しっかりして!危ないっ!あ、あぁ〜〜〜っっ!」
渦に引き込まれそうなカパエルを助けようとしたカパ子は、カパエルもろとも渦の中に引き込まれてしまった。
「きゅ〜〜〜!!
ブクブクブク…」
*
「しっかりしろ!」
「わっ!!」
カパエルの目に映ったのは、カパ子ではないカッパの顔だった。
「こ、ここはどこ?」
「ここは…カッパーポン村じゃ。」
「か、カッパーポン村…?」
「そうじゃ、カッパの村の中でも一番の都会のハイカラな村じゃ。
全国のナウでヤングな若者が憧れる村なんじゃ。
おぬしらもここに憧れてやってきたんじゃないのか?」
「違うよ〜。僕らは池で泳いでてぐるぐるを見てたら、ここに来てたの。」
「なんと!
このカッパーポン村のことも知らんかったとは、おぬしら、よほどの田舎から来たんじゃな。」
「あ、そういえば、カパ子ちゃんは?」
「あの子なら、隣の部屋じゃ。
そうそう、わしはこの村の村長代理のカパリックじゃ。おぬしは?」
「僕はカパエル。ミカエルだけどカパエル。」
しばらくするとカパ子も気が付き、カパエルの部屋にやってきた。
二人はカパエルの身分には触れず、ここに来たいきさつをカパリックに話して聞かせた。
「そうか、そんな深いわけがあったのか…気の毒にのう…
ならば、ここで暮らしたらどうじゃ?
ここなら、人間にはみつからず二人で幸せに暮らせるぞ。」
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