第7章…カッパーポンの村1
その頃、カパ子とカパエルは暗い川の流れに身を任せていた。
「ミカタン、あたち達、このままどこに行くのかな?」
「さぁ…わからないよ。
でも、だいぶんふやけてきたし、ちょっとあがろうか…」
二人は川岸に上がり、並んで腰をかける。
「ねぇ、ミカタン…
これからどうしようか?」
「そうだね。どうしようか…?
雇ってくれる所があったら、僕、どこでも働くんだけど…」
「そんなの無理よ。
ミカタンがノルディーナ王国の王子様だってことはもう皆が知ってるんだから、雇ってくれる所なんてないわ。
それよりも、みつかったらあたち達、離れ離れにされてしまうわ。」
「離れ離れ?いやだよ、そんなの!」
「あたちもミカタンと離れるなんていやよ!でも、どこへ行ってもきっとみつかるわ…」
「そうだ!じゃ、田舎にいけば良いんじゃない?
僕ね、昔、ど田舎で修行してた時、新聞なんて見たことなかったよ。」
「そうね!
ど田舎だったら、大丈夫かもしれないわ!」
二人はど田舎を目指して、山道を歩き出した。
*
「ミカタン…もうずいぶんど田舎に来たと思うんだけど、もっと進むの…?」
あれから、かれこれ十日程の時が流れていた。
あたりは鬱蒼とした木々に囲まれ、道らしき道さえない。
「そうだね。ここまで来たら、僕達のことを知ってる人はいないと思うんだけど…」
「それは大丈夫よ。
だって、もう何日も前から人間には会ってないもん。
最近会ったのは、猪と鹿だけよ…」
「そうだったね。じゃ、このあたりに住もうか…」
「こんな何もない所にどうやって住むの?」
「任せといて。
僕ね、昔、山奥で魔術の修行してたことがあるから、大工仕事は得意なんだ!」
魔術の修行をしていてなぜに大工仕事が得意なのか…?カパ子は不思議に思ったが、ミカエルの自信に満ちた態度を見ていると、そんなことはどうでも良いことのように思えた。
「じゃ、まずは家造りに必要なものを探さなくっちゃ!」
「あたちも一緒に行くわ!」
カパエルとカパ子は、資材を求めてあたりを歩き出した。
- 136 -
しおりを挟む
コメントする(0)
[*前] | [次#]
中編集トップ 章トップ