第7章…カッパーポンの村1


その頃、カパ子とカパエルは暗い川の流れに身を任せていた。

「ミカタン、あたち達、このままどこに行くのかな?」

「さぁ…わからないよ。
でも、だいぶんふやけてきたし、ちょっとあがろうか…」

二人は川岸に上がり、並んで腰をかける。



「ねぇ、ミカタン…
これからどうしようか?」

「そうだね。どうしようか…?
雇ってくれる所があったら、僕、どこでも働くんだけど…」

「そんなの無理よ。
ミカタンがノルディーナ王国の王子様だってことはもう皆が知ってるんだから、雇ってくれる所なんてないわ。
それよりも、みつかったらあたち達、離れ離れにされてしまうわ。」

「離れ離れ?いやだよ、そんなの!」

「あたちもミカタンと離れるなんていやよ!でも、どこへ行ってもきっとみつかるわ…」

「そうだ!じゃ、田舎にいけば良いんじゃない?
僕ね、昔、ど田舎で修行してた時、新聞なんて見たことなかったよ。」

「そうね!
ど田舎だったら、大丈夫かもしれないわ!」

二人はど田舎を目指して、山道を歩き出した。







「ミカタン…もうずいぶんど田舎に来たと思うんだけど、もっと進むの…?」

あれから、かれこれ十日程の時が流れていた。
あたりは鬱蒼とした木々に囲まれ、道らしき道さえない。



「そうだね。ここまで来たら、僕達のことを知ってる人はいないと思うんだけど…」

「それは大丈夫よ。
だって、もう何日も前から人間には会ってないもん。
最近会ったのは、猪と鹿だけよ…」

「そうだったね。じゃ、このあたりに住もうか…」

「こんな何もない所にどうやって住むの?」

「任せといて。
僕ね、昔、山奥で魔術の修行してたことがあるから、大工仕事は得意なんだ!」

魔術の修行をしていてなぜに大工仕事が得意なのか…?カパ子は不思議に思ったが、ミカエルの自信に満ちた態度を見ていると、そんなことはどうでも良いことのように思えた。



「じゃ、まずは家造りに必要なものを探さなくっちゃ!」

「あたちも一緒に行くわ!」

カパエルとカパ子は、資材を求めてあたりを歩き出した。


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