ノルディーナ王国10
その頃、ルディは…
「また、皿を割ったのか!
一体、何枚めだと思ってやがるんだ!
おまえみたいな役立たずはクビだ、クビだ!」
「畜生!こんな店、こっちからやめてやらぁ!」
カパエルの金を使い果たしたルディは、仕方なく働き口を探したが、どこも長続きせずクビになってばかりいた。
(あ〜あ、こんなことならカパエルと離れるんじゃなかった…
あいつといたら、食いっぱぐれることはなかっただろうに…
…ん?)
ルディの足元に、風に吹かれた新聞がまとわりついく。
(こ、これは、カパエルじゃないか!!
何ぃ?カパエルがノルディーナ王国の王子だぁ?!
そんな馬鹿な…!
……ノルディーナ王国……??)
その名を聞いた途端、ルディは心の中が妙にざわめき出すのを感じた。
(と、とにかく、その国に行ってみないとな!
もしも、カパエルが本当に王子だったら、俺もカパエルの友達ってことで優雅な生活が出来るかもしれないぞ!!)
次の日からルディは、ノルディーナ王国を目指して旅に出た。
*
「カパエル!どうするつもりだ。
パパラッチのせいで、この国以外にもおまえとカパ子のことが広まってしまったではないか。」
「僕はカパ子ちゃんと結婚するんだから、他の国に広まっても構わない!」
「おまえ、まだそんなことを…
おまえが私の言うことをきけないというのなら、私にも考えがある!」
「父さん…何をするつもりなの?」
「…カパ子を国外追放にする…!」
「そんな、ひどいよ、父さん!
父さんの馬鹿〜!父さんなんて、大っ嫌いだぁ…!!」
「ミカエル!どこへ行く!」
*
ちょうどその頃…ルディはやっとノルディーナ王国に着いた所だった。
(あぁ、やっと着いたか…!ずいぶんと遠かったなぁ…
さて、お城はどこだ…?!)
町に入りお城を探してる間に、ルディは不思議な感覚に包まれた。
(なんか…懐かしい感じのする町だなぁ…)
道を尋ねてもいないのに、なんとなくお城のある方角がわかるような気がする。
「あ……」
ルディの目の前にノルディーナ城が現れた。
(……このお城……)
ルディの心のざわめきはどんどんと大きくなっていく。
得体の知れぬ感情の高ぶりを押さえながら、ルディは門番に声をかけた。
「俺は、この国の王子・カパエル…いや、ミカエルの親友だ!
ミカエルにルディが来たって伝えてくれ!」
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