ノルディーナ王国7
「そういえば、おまえ、確かまだ若い頃からカッパを飼っていたな。
カッパの寿命がどのくらいなのかはわからんが、もしかしたら、もうカパ子は老衰なのではないか?」
「そうではない。
その頃、飼っていたのはカパミじゃ。
カパ子はカパミの娘なんじゃ。」
「そうだったのか?!
それで、カパミは…?」
「カパミは…カパ子を生んですぐに…」
リカルドはそっと目がしらを押さえた。
「まさか、カパミは…」
「カパ子を置いてオスカッパと出ていったんじゃ…」
ガクッ…
「そ、そうじゃったのか。あぁ、びっくりした…
それは気の毒にな。
では、おまえはそれから乳飲み子のカパ子を一人で育ててきたということなのか?」
「そうじゃ。
だから、ワシにとっては我が子同然だとゆーとるんじゃ… 」
*
「カパ子ちゃん、大丈夫?」
「おぉ、ミカエル様、来て下さったのですか?
良かったなぁ、カパ子や、ミカエル様が心配して来て下さったぞ…!」
「きゅ〜〜〜〜〜〜」
カパ子の顔がなお一層、赤くなり湯気を立てている。
「………わかった!!!」
「なんじゃ、ルーファス、デカい声を出して…
一体なにがわかったというんじゃ!?」
「カパ子はミカエル様に恋をしているんじゃ!!」
「え〜〜〜〜っっ!!
カパ子、本当なのか…?」
「きゅ〜〜〜〜〜〜」
カパ子は、毛布で顔を隠して照れている。
「そうか、そうだったのか…
カパ子は、ミカエル様のことを…
一目ぼれしてしまったんじゃな…」
「え〜〜〜っ?!
ぼ、ぼ、僕に一目ぼれ〜?!」
女の子にそんなことを言われたことのなかったカパエルは、初めての告白に有頂天になった。
(こ、こ、これは、明らかに脈あリな雰囲気ではないか!
もしかしたら、カパ子がミカエル様の妃になることも夢ではないかもしれん!
しかし、ミカエル様が人間に戻ってしまったら、それはもう叶わぬ夢…
可愛いカパ子の恋は実らせてやりたいが、それはミカエル様をカッパのままでいさせるということ…
そうなると、金髪美女軍団との24時間はなくなってしまう…)
リカルドの心は揺れ動く…
(……ワシは、一体どうすれば良いんじゃ…)
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