ノルディーナ王国2
その晩は笑いの絶えない和やかな夕食となった。
「あなた、小さい頃はかなりのやんちゃできかんぼうだったのに、ずいぶん穏やかになったわね。」
「そうかなぁ…」
「ミカエルは、カッパの姿になってからさぞ苦労したんだろうな。
しかし、そんな中でもひねくれることもなくこんなに素直に育ってくれて…私は嬉しいぞ。
城の魔術師達や賢者達が、必ずや、おまえを元に戻す術をみつけだしてくれるからな。
心配しなくて良いのだぞ。」
「うん、ありがとう、父さん!」
次の日から、早速、魔術師や賢者を交えての会議が始まった。
「ルーファス殿、ミカエル様を元に戻す呪文をお間違えになられたのではないのですか?」
「そんなことはない!一語一句間違いはありませんっっ!」
「しかし、ルーファス殿ももうお年ですしなぁ…」
「そういえば、このまえ、ルーファス殿がモップに向かって挨拶をされている所をみかけましたぞ。」
「私は、ルーファス殿がリモコンを握って電話をかけていらっしゃるのを見ました。」
「私は、ルーファス殿が、おはぎと間違えて馬の●●●を食べようとされている所を……」
ピーーーーッッ!!
ラビッツの放送禁止笛がけたたましく鳴り響く。
「コホン。
では、話題を変えまして…
ルーファス殿!そもそも、なぜミカエル様をカッパになど変えたのです!
犬猫なら、変身させるのもそれを解くのも簡単な呪文で済むものを…」
「そ、それはじゃな…
あの時はとにかく焦っておって…」
「ほら、ごらんなされ!
やはり、当時のルーファス殿は相当に焦っておられたのです。
ですから、もしかしたらカッパに変身させる呪文自体が、間違っていたのではないでしょうか?!」
おおおおぉ〜〜〜!
会場から感嘆の声が漏れた。
「だとすれば、きっとカパエル様はどこかがカッパになりきれていないとか、なんらかのおかしな部分があるはずですな。」
「しかし、どこがどう違うのかをどうやって調べるのです?」
「そうだ!ならば、魔法によって変身させられたものではなく、生粋のカッパを探してきて比較してみてはいかがでしょう?!」
「それは良い考えじゃ!」
早速、カッパを探し出すことに話はまとまった。
(……そうじゃないだろ……)
会場の後片付けをしながら、ラビッツは心の中でそっと呟いた…
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