第6章…ノルディーナ王国1
「ノルディーナ王国までは遠いの?」
「そこそこ遠いのですが、そこにいるラビッツに任せておけば、あっという間ですぞ。」
カパエルとルーファスは荒縄シートベルトで荷車に縛り付けられた。
「では、まいります!」
ドドドドドーーーーー
ひぇぇぇぇぇぇーーーーーー!
ぎぇぇぇぇぇ〜〜〜〜!
ラビッツの足がまるで止まっているように見える…
この時代にギネ●ブックがあったなら、彼の人間離れした俊足は間違いなく登録されていたであろう。
そして、今のこの時代にもその記録を塗り替える者はきっと現れてはいなかったはずだ…
*
ラビッツのおかげであっという間にノルディーナ王国に着いた。
「ミカエル様…大丈夫ですかな?」
「ひ…ひ…ひ…く、空気…」
ラビッツの超高速運転に息も絶え絶えのカパエルは、ラビッツに背負われ、お城の中へ…
「ミ、ミカエル!よくぞ戻った!」
「ミカエル〜〜!
……あぁ、無事で良かった…!」
見知らぬ王と王妃に抱き締められ、カパエルは戸惑っていた。
「ミカエル様、思い出せませぬか?
あなた様のお父上とお母上ですぞ!」
「僕の父さんと母さん…?」
カパエルの頭の中に浮かぶ両親の姿とはかなり違う…
(でも、そういえば修行から帰った時の母さんはまるで別人のようにケバくなってた…
いつの間にか六人の弟や妹達まで出来てた。
あれからまたしばらく会ってないし…
もしかしたら、それでこんなに変わってしまったの…?!)
混乱するカパエルを王妃は再びそっと抱き締めた。
「ミカエル…」
(……良い匂い…柔らかい…)
「母さんっっ!!」
久しぶりの優しい温もりに、カパエルは思わずそう叫んでいた。
「おまえがどんな姿をしていようとも、ミカエルであることに変わりはない。
おまえがノルディーナ王国の王子であることもな。」
王は低く響く声でそう言った。
(こんなに優しくしてくれるなんて…やっぱりこの二人は僕の父さんと母さんなんだ…!)
あほで前向きなカパエルはそう理解した。
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