大事件!10






「ここじゃな、あほの盗賊達のアジトは…」

ドアの前には「悪党のアジト」とマジックで書いてあった。



コンコン!

「誰だ!?N●Kなら見てないから払わないぞ!」

「こんばんわ。
わしはルーファスという者、ちょっとあなた方にお聞きしたいことがありましてな…」

「俺達には話す事なんかねぇ!
帰れ!帰れ!」

「そうですか…
残念じゃのう…お土産も持って来たのに…」



(…お土産…!?)

その言葉が、魔法の呪文となったかのようにカチャリという音と共に扉が開いた。



「これはこれは…
よくぞこんな所までいらっしゃいました。
お疲れになりましたでしょう?どうぞお入り下さい。
私共に一体、何のご用でしょうか?」

もみ手をしながらにこやかに微笑む親方の視線は、ルーファスの持っている包みに釘付けだ。



「あ〜、これはつまらんもんですが…」

ルーファスが差し出す包みをひったくるように手にした親方はバリバリと包みを開ける。



「親方!饅頭だ!!」

「あぁ…ひさしぶりだなぁ…」

「親方ぁ…」

二人は五年ぶりに見た饅頭をみつめながら、抱き合って熱い涙を流す。



(…う…美しい…)

思わずもらい泣きするルーファスを呆れた顔で一瞥し、ラビッツは冷静に質問した。



「こちらにカッパがいるのではないかと思って来てみたのですが…」

「カッパ…?
カッパって…カパエルのことですかい?
…ってことは、もしかして旦那がカパエルの飼い主?」

「な、なに?!
ここにミカ…いや、カパエル様がおられるのか?!」

「あ…あ…あの、カパエル様は今はちょっと…」

「どこにおられるのじゃ?!」

「ちょっと失礼します…」

親方は、ロイドを柱の影にひっぱった。



(馬鹿!だから、あのカッパはここに置いとけって言っただろうが!)

(そ、そんなぁ…親方が、山に捨てて来いって言ったんじゃないですかぁ…)

(俺はそんなこと言っちゃいねぇ!
今から、山に行ってカパエルを連れ戻して来い!)

(親方、あれからもう六日も経ってるんですぜ。もう山になんていやしませんよ!)

(いいから早く行って来い!
みつけるまで帰って来るんじゃないぞ!
帰って来たって入れてやらねぇからな!)

(そ…そんなぁ…)



仕方なくロイドは、カパエルを捨てたあの山へ向かった。


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