第１１章…帰趨２
＊
それから一月程した頃、セドリックという男がパメラの元を訪ねた。
「あなたがパメラさんですか？」
「そうですが…あなたは？」
「私はセドリック。
ブルーの親代わりみたいなものです。」
「ブルーさんの…！
それで、ブルーさんはそちらへお戻りになられたのでしょうか？」
「それが…一向に連絡がないのです。
もしかしたら、こちらでみつかっていないかと思い、訪ねてきたのですが…」
「そうですか。
でも、こちらにも帰ってはいません。
島内は、皆さんにも手伝っていただいて隈なく探したのですが、みつかりませんでした。
きっと、なんらかの手段を用いてこの島を出られたんだと思います。」
「そうですか…
では、あなたも大陸の方へ来られませんか？
これからは、二人で彼らを探しましょう！」
パメラは、セドリックと共に大陸へ渡った。
生まれて初めての外の世界…
この船旅がノワールと一緒だったら、どんなにか幸せだっただろうに…
そんな想いを胸に抱き、パメラは、だんだん小さくなる島をみつめながら、そっと涙を流した。
大陸に着いてもパメラの頭の中にはノワールのことしかなかった。
二人は毎日ブルーとノワールの消息を探して歩いたが、やはり手掛りはみつからない…
もしかすると、島を出てから二人の身に何事かが起きたのではないかと
いう想像はあったが、二人共決してそのことを口にはしなかった。
パメラが大陸に来て一週間程が経ったある朝、いつものようにでかけようとしていたパメラが玄関先で突然倒れた。
「パメラさん、しっかりして！
メアリー！すぐにお医者様を！！」
医者の見立ては思ってもみない程意外なものだった。
「まさか…！」
当のパメラの驚きが一番大きかった。
「あなた、全く気が付いてなかったんですか？
もう七ヶ月目に入ってますよ。
それにしても、栄養状態が酷いですね。」
「パメラさん、おめでとう！」
「でも、私……」
「これからのことはすべて私にまかせて、あなたは元気な子供を産むことだけをお考えなさい。」
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