大事件!5
*
「おいも〜!い〜し焼き〜芋〜」
「ん?こんな季節に石焼き芋とは珍しいもんじゃな。」
「ルーファス様、宜しければ一つ買って参りましょうか?」
「そうじゃな…
暑い時に熱いもの食するのも風流かもしれんのう。
では、頼むとするか?」
「はっ!」
ラビッツはものすごい勢いで焼き芋屋を追いかけた。
「お芋屋さん、待って〜!!」
「らっしゃい!」
「お芋二つ下さいな。
大きいやつね!」
ラビッツはあつあつの焼き芋を抱え、すぐさまルーファスの元に戻って来た。
「はふはふはふ…ほっへもほひひいてふね!(とってもおいしいですね!)
「ふむ。ほひひいのう。
はふのひゃひいももひょいもんひゃ(ふむ。おいしいのう。夏の焼き芋も良いもんじゃ)」」
「……ん??
こ、これは…?!
んがぐぐ…ぐるじぃ…」
ルーファスは驚きのあまり、焼き芋を喉に詰めた。
「ルーファス様!大丈夫ですか!」
「み…み…みず…」
「は、はいっ!ルーファス様、すぐお持ちします!」
戻って来たラビッツが差し出したのは、丸々と太った巨大みみずだった。
「ぎぇぇぇぇーーー!」
ルーファスの目玉は落っこちそうなくらいに飛び出し、その身体はイナバウワー張りにのけぞった。
「大馬鹿モノめが!!
水と言ったのじゃ!
みみずを持ってくる奴がおるか!」
「でも、ルーファス様…先程は、確かに『みみず』と…
それに、詰まった焼き芋は取れたのでは…?」
「そ、そういう問題ではないっ!!
あやうく死ぬところじゃった…ブツブツ…
そんなことより、ラビッツよ、これを見よ!!」
「こ、これは…!
ルーファス様、これはまさか…!!」
「そうじゃ!間違いない!
早速、ここへ向かうぞ!!」
「はっ!ルーファス様!」
ラビッツは、ルーファスを荷車に縛りつけると、ものすごい勢いで走り出した。
「ぎゃあああああああ〜〜〜!」
山を上り、谷を越え、でこぼこ道もルーファスの絶叫をもものともせず、ラビッツはただひたすら走り続けた。
*
「ルーファス様、着きました!
ここです!」
「…ぜいぜいぜい…
死ぬかと思った。
もう少し加減して走れぬのか!」
「シートベルトをつけてから、落ちたことないじゃありませんか。」
「どこがシートベルトじゃ!
こんなもの、ただの荒縄ではないか!
わしは米俵じゃないぞ!
…まぁ良い。
説教は後だ!さ、町へ行くぞ!!」
足の強さと速さを見込んでこの者を弟子にしたことを、ルーファスは少し後悔し始めていた。
- 114 -
しおりを挟む
コメントする(0)
[*前] | [次#]
中編集トップ
章トップ