大事件!5






「おいも〜!い〜し焼き〜芋〜」

「ん?こんな季節に石焼き芋とは珍しいもんじゃな。」

「ルーファス様、宜しければ一つ買って参りましょうか?」

「そうじゃな…
暑い時に熱いもの食するのも風流かもしれんのう。
では、頼むとするか?」

「はっ!」

ラビッツはものすごい勢いで焼き芋屋を追いかけた。



「お芋屋さん、待って〜!!」

「らっしゃい!」

「お芋二つ下さいな。
大きいやつね!」

ラビッツはあつあつの焼き芋を抱え、すぐさまルーファスの元に戻って来た。



「はふはふはふ…ほっへもほひひいてふね!(とってもおいしいですね!)

「ふむ。ほひひいのう。
はふのひゃひいももひょいもんひゃ(ふむ。おいしいのう。夏の焼き芋も良いもんじゃ)」」

「……ん??
こ、これは…?!
んがぐぐ…ぐるじぃ…」

ルーファスは驚きのあまり、焼き芋を喉に詰めた。



「ルーファス様!大丈夫ですか!」

「み…み…みず…」

「は、はいっ!ルーファス様、すぐお持ちします!」

戻って来たラビッツが差し出したのは、丸々と太った巨大みみずだった。



「ぎぇぇぇぇーーー!」

ルーファスの目玉は落っこちそうなくらいに飛び出し、その身体はイナバウワー張りにのけぞった。



「大馬鹿モノめが!!
水と言ったのじゃ!
みみずを持ってくる奴がおるか!」

「でも、ルーファス様…先程は、確かに『みみず』と…
それに、詰まった焼き芋は取れたのでは…?」

「そ、そういう問題ではないっ!!
あやうく死ぬところじゃった…ブツブツ…
そんなことより、ラビッツよ、これを見よ!!」

「こ、これは…!
ルーファス様、これはまさか…!!」

「そうじゃ!間違いない!
早速、ここへ向かうぞ!!」

「はっ!ルーファス様!」

ラビッツは、ルーファスを荷車に縛りつけると、ものすごい勢いで走り出した。



「ぎゃあああああああ〜〜〜!」



山を上り、谷を越え、でこぼこ道もルーファスの絶叫をもものともせず、ラビッツはただひたすら走り続けた。







「ルーファス様、着きました!
ここです!」

「…ぜいぜいぜい…
死ぬかと思った。
もう少し加減して走れぬのか!」

「シートベルトをつけてから、落ちたことないじゃありませんか。」

「どこがシートベルトじゃ!
こんなもの、ただの荒縄ではないか!
わしは米俵じゃないぞ!
…まぁ良い。
説教は後だ!さ、町へ行くぞ!!」

足の強さと速さを見込んでこの者を弟子にしたことを、ルーファスは少し後悔し始めていた。


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