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「び、美戎…!
お、おまえ、何言ってるんだ!?
そんなわけないだろ?
煎兵衛さんはずっと昔の人だぞ。
もうとっくに死んだ人だぞ!」
「誰が死んだ者だ。
私はこうしてしっかりと生きている。」
「い、いえ…そ、その、だから……」
「煎兵衛さん…今から話すね。
まず、一言で簡単に言うと、僕達は未来から来ました。」
「な、なんだと!?」
煎兵衛さんは、おかしな顔をして美戎をみつめてた。
「僕達は、今から約400年後の世界からここに来たんです。」
「えーーーーーっ!?」
俺は思わず絶叫してしまった。
美戎よ、今何て言ったんだ!?
「僕達は、約400年後の世界で、分家筋の安倍川久兵衛さんの屋敷で開催されている陰陽師体験コースに参加しました。」
「陰陽師体験コース?
なんだ、それは?」
「詳しいことはあとで答えますから、まずは僕の話を聞いて下さい。
僕達は、久兵衛さんの屋敷で隠し部屋をみつけ…そこで、僕は久兵衛さんの日記のようなものをみつけました。
そこには、久兵衛さんが長年研究して来た過去へ戻る秘術のことが書かれてありました。
その秘術は、あと少しで完成だったようですが、完成する前に久兵衛さんは亡くなってしまった。
僕は、僕なりに考えて、呪文を唱え印契を切りました。
何度も何度も。
そしたら、ここに来てたんです。」
「で…では、私の子孫があみだした時を遡る秘術をおまえが完成させ、そして、ここへやってきた…と?」
「その通りです。」
美戎は、事もなげにそう言って、にっこりと微笑んだ。
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